
インバウンド初心者が最初に読むべき【多言語サイト制作入門】
この記事に辿り着いた方の中には、
- 知識がないままインバウンド担当となり、多言語サイト制作を進めることになった
- 多言語サイトを制作したものの、あまり効果を感じられない
- 訪日外国人客の利用が増えており、もっと予算をかけてしっかり集客したい
という状況の方が多いだろう。
いずれの方も、おそらく「効果が出る多言語サイトを作るためには、どうすればいいのか」という悩みを抱えているはずだ。
多言語対応の旅行メディアの運用と多言語サイト制作を行う「GOOD LUCK TRIP」が、これまでに培ったノウハウを元に、その悩みを解決する情報をお伝えしよう。
インバウンドの知識がない方でもわかるように、多言語サイト制作の基本中の基本に絞って解説するので、ぜひ参考にしてほしい。
複数の言語に対応するWebサイト「多言語サイト」
多言語サイトとは、日本語のWebサイトをベースに、英語・中国語(繁体字・簡体字)・韓国語・タイ語など、複数の言語に対応しているWebサイトのこと。
ただ、気をつけてほしいのは、日本語のWebサイトを他の言語に翻訳するだけでは、効果を感じられない多言語サイトとなってしまうこと。
言語ごとに「ローカライゼーション」することが、多言語サイト制作においては最も重要だ。

多言語サイト制作で最も重要な「ローカライゼーション」
ローカライゼーションとは、特定の国や地域の言語、文化、宗教、価値観、感性、法律などに合わせて、サイトのコンテンツやデザインなどを手直しすること。
どのように手直しするべきかは、ターゲットとする国や地域によって異なる。
ただ、共通して言えるのは、日本人よりも外国人の方が、サイトに掲載している施設やサービス・商品への理解度が低いということ。
施設やサービス・商品のほとんどは、外国人にとって馴染みがなく、名前しか知らない状態でWebサイトを見る。
日本人は広告やSNSなどで、ある程度は施設やサービス・商品のことを知ってからWebサイトを訪れることが多いため、ブランディング的な要素が必要となる。
乱暴にまとめてしまえば、Webサイトを訪れた時にインパクトを与えられるかどうか、好ましい印象を与えられるかどうか、という点を重視するケースが多い。
ただ、外国人に見てもらう場合は、施設やサービス・商品が、どんな場所で何があって、どんな体験ができるのかをパッと見で伝えることの方が重要だ。
その他にもローカライゼーションでは、気を付けるべき点・やらなければいけないことは多い。
細かい調整の積み重ねは必要となるが、ローカライゼーションがきちんと出来ていないと、多言語サイトの制作は失敗に終わる。

日本語サイトを自動翻訳・機械翻訳するだけじゃダメ?
多言語サイトを制作する際、選択肢として上がることが多いのは、日本語のWebサイトを自動翻訳・機械翻訳して、多言語サイトを作ることだろう。
結論からお伝えすると、自動翻訳・機械翻訳で多言語サイトを作るのであれば、他のインバウンド集客の施策を実施した方が良い。その理由を詳しく説明していこう。
自動翻訳・機械翻訳では正しく伝わらない
AIの進化もあり、自動翻訳・機械翻訳の精度も上がっている。
ただ、それでもネイティブスピーカーが読むと、自然な文章になっているとは言い難い。
「伝えたい内容が概ね伝われば良いだろう」と考えるかもしれないが、それも危険だ。
自動翻訳・機械翻訳した文章では、間違った内容が伝わる可能性がある。
例えば最寄り駅の駅名が正しく伝わらなかった場合、施設やお店に辿り着けないだけでなく、誤った情報を掲載している施設やお店への不信感が高まるだろう。

ターゲットから信頼してもらえない
あなたが海外の施設やサービスの公式サイトを訪れた時、そのWebサイトの日本語が自動翻訳・機械翻訳された不自然な文章だったら、どう感じるだろうか。
もし同じような施設やサービスが他にもあり、そのWebサイトが自然な日本語で書かれていたら、自然な日本語で書かれた方の施設に足を運び、サービスを利用するだろう。
なぜなら、自然な日本語で書いてある方が、日本人のことを大切にしていると感じ、信頼できるからだ。
日本人のおもてなし精神を、Webサイトでも発揮しよう。

多言語サイト制作で成功するために押さえておくべき3つのポイント
多言語サイト制作で成功するためのポイント中でも、基本であり重要なポイントに絞って紹介しよう。
他にも成功するために押さえておくべきポイントは非常に多いが、最低でもこれから紹介するポイントは実施してほしい。
1. ネイティブスピーカーによる翻訳
先述した通り、自動翻訳・機械翻訳では、正しい意味・内容を伝えられないだけでなく、ユーザーからの信頼を得られない。
だからこそ、翻訳はネイティブスピーカーへ依頼しよう。
コストを抑えたいなら、自動翻訳・機械翻訳した文章をネイティブスピーカーに確認・修正してもらうという形でも構わない。

2. ターゲットとする国・地域に合わせたコンテンツを制作
日本語のWebサイトをそのまま翻訳しただけでは、いくら翻訳のクオリティが高くても、成果は見込めない。
例えば、ショッピングモールなどの商業施設を運営しており、Webサイトに芸能人やインフルエンサーなどが出演するイベント情報を大きく取り上げているとしよう。
外国人が知っている日本の芸能人やインフルエンサーはごく僅か。
知らない芸能人やインフルエンサーが出演するイベント情報よりも、施設そのものの魅力や施設内のショップや飲食店の情報を知りたいと、外国人観光客は考えている。
また、どの施設・どのサービスがお勧めなのかを絞って発信するのも重要だ。
先述した通り、日本人より情報量が少なく、施設・サービスへの理解度も低い外国人観光客は、施設やサービス・商品を選ぶのが難しい。
施設内のショップや飲食店を一覧で表示、様々なサービス・商品をずらっと並べた多言語サイトは散見されるが、それでは情報量が多すぎて外国人観光客にとっては、何を選んだらいいかわからない。
だからこそ、ターゲットとする国・地域の人々に最もお勧めしたい、価値のあると思えるものを厳選し、わかりやすく紹介しよう。
このように日本人が知りたい情報と、外国人観光客が知りたい情報は大きく異なる。
そのため、ターゲットとする国・地域の人々が知りたい情報を想定し、コンテンツを設計し直し、制作する必要がある。

3. どの国・地域でも使用できるデザインを心がける
言語ごとに異なるデザインを設計・実装するのは、費用も運用コストもかかるので、全言語共通のデザインでも構わない。
ただ、以下2つのポイントは押さえてほしい。
- 特定の国や地域の人々が好むデザインにしないこと
- 特定の国や地域でネガティブなイメージを持つデザインにしないこと
例えば、灰色は中国圏の人々にとって、ネガディブなイメージであることはご存知だろうか。
そのため、中国語(繁体字・簡体字)のWebサイトで灰色を使用すると、自社の施設やサービス・商品のイメージを下げる可能性が高い。
このように特定の国・地域によっては、ネガティブなイメージを持たれるデザインがある。
どの国・地域でも、ネガティブなイメージを与えないようなデザインを心がけてほしい。
また、各言語のフォントサイズ・行間・余白をそれぞれ適切に設定するのも重要だ。
英語であれば、文章間の余白は狭くした方が読みやすく、繁体字(中国語)は画数の多い漢字があるため、余白を広く取らないと潰れてしまうなど、言語の特性に合わせた細かな調整も必要となる。

多言語サイト制作でよくある失敗パターン
ここまでの内容をふまえると、少なくとも以下3パターンの多言語サイトが失敗することはご理解いただけただろう。
- 日本語のWebサイトを翻訳しただけの多言語サイト
- 自動翻訳・機械翻訳の多言語サイト
- ローカライゼーションしていないサイト
上記以外にも、効果を感じられない多言語サイト制作に共通するパターンはあるので、詳しく紹介していこう。
指名検索で上位表示できていない
多言語サイトがあっても、施設名やサービス名で上位表示できていないケースは非常に多い。
せっかく外国人観光客から認知されているのに、自社の多言語サイトを見つけてもらえず、機会損失し続けているパターンだ。
もし多言語サイトを制作している状況であれば、施設名・商品名・サービス名をGoogleなどの検索エンジンで実際に検索して、自社サイトの順位を確認してほしい。
この時の注意点は、日本語で検索しないこと。
Googleなどの検索エンジンは検索する言語と検索する地域によって、検索結果が異なる。
例えば、日本国内で日本語の「東京 観光」と検索した場合と、台湾で繁体字(中国語)の「東京景點(日本語訳:東京 観光)」と検索した場合、その検索結果は変わってくる。
日本以外の言語、日本以外の地域で検索した時の検索結果の確認方法は、別のコラムで紹介する。
まずは言語と検索する地域によって、検索結果が異なるということだけは覚えておこう。

最低限の情報だけを掲載している
運用コスト削減のために、最低限の情報だけを掲載している多言語サイトも多い。
しかし、施設の営業時間や定休日、アクセスだけを掲載するのであれば、GoogleマイビジネスやSNSだけで充分だ。
せっかく多言語サイトを制作するのであれば、自社の施設・サービス名の魅力を伝えるコンテンツを用意しないともったいない。

ターゲットの国・地域におけるWebサイトの表示速度が遅い
Webサイトを見ているユーザーはせっかちであり、ページが表示されるまでに時間がかかると、そのページから離脱される可能性が高くなるのは、日本国内でも海外でも共通の事実。
Googleが公表しているデータには、「ページが表示されるまでに3秒以上時間がかかると、約40%以上のユーザーが閲覧をやめて離脱する」とある。
Webサイトの表示速度が遅くなる原因は様々だが、海外からアクセスした際の表示速度が遅くなる大きな要因のひとつは、サーバーの物理的な距離の遠さだ。
ページにアクセスしたユーザーがいる位置と、設置されたサーバーの距離が遠ければ遠いほど通信速度は遅延し、Webサイトの表示速度が遅くなる。
その結果、ターゲットとする国では、Webサイトの離脱率が高くなり、せっかく作った多言語サイトを見てもらえない。
そのため、日本国内向けのサイトよりも、多言語サイトではWebサイトの表示速度を上げるための施策は重要となる。

制作会社へ依頼する前に準備しておくべき3つのポイント
ここまでの内容を踏まえて、多言語サイトを制作会社に依頼する前に、自社で準備しておくべき3つのポイントをお伝えしよう。
効果の出る多言語サイトを作るためには、制作会社に任せきりにするのではなく、自社でもある程度の準備が必要だ。
1. 自社の施設・サービス、商品の認知度を把握する
多言語サイトを制作する前に、必ず確認してほしいことがある。
それは「自社の施設や商品・サービスが外国人観光客から認知されているか」だ。
そもそも外国人観光客に知られていない施設や商品・サービスであれば、ネットで調べられず、Webサイトが見られることはないだろう。
これまでにインバウンドプロモーションを実施したことがないなら、自社の施設やサービスは認知されていないと考えた方が良い。
インバウンドプロモーションを実施したことがあれば、プロモーションを依頼した会社に認知度の調査を依頼したり、多くの外国人観光客から見られているインバウンドメディア上でアンケートを取ったりと、どれくらい認知度を高められたか確認してみよう。
もし外国人観光客に認知されていない場合は、まず認知されるための施策から実施してほしい。

2. 多言語サイトの目的とターゲットを決める
多言語サイトを作ることを決めたら、まずは目的を決めよう。
- 施設の来客数の増加
- サービスの利用者数の増加
- 既に訪れている訪日観光客への注意喚起
などが目的となることが多い。
次はターゲットとする国・地域を決めよう。
前述した通り、多言語サイト制作ではローカライゼーションが重要だが、適切にローカライゼーションするためには、ターゲットとする国・地域を明確に決める必要がある。

3. 多言語サイトで伝える情報の整理
目的とターゲットを決めたら、次はそのターゲットが知りたい情報を仮定し、それに応える情報を整理しよう。
日本語のWebサイトのコンテンツのまま掲載しても、効果を感じられる多言語サイトにはならないため、今あるコンテンツや自社の施設・サービスに関する情報を整理して、何が必要かを検討してほしい。
また、自社の施設やサービス自体の見直しも同じタイミングで実施しておこう。
外国人観光客にとって魅力的な施設やサービスを作れていなければ、多言語サイトの制作が上手くいっても、来客やサービスの利用には繋がらないからだ。

多言語サイト制作の費用相場
制作会社や制作するページ数によって費用は異なるが、1言語あたり最低でも150万円前後。
2つの言語に対応する場合は、150万円×2言語で最低でも300万円程度はかかると考えてほしい。
よくある費用の内訳は以下の通りだ。
- 多言語サイトの設計費用
- 10万円〜20万円
- サーバー費用
- 50万円〜
- ディレクション費用
- 30万円〜50万円
- デザイン費用
-
・トップページ:10万円〜
・その他ページ:5万〜8万円 - システム構築・コーティング費用
- 30万円〜
- 翻訳費用
- 1文字15円〜20円
失敗しない多言語サイト制作会社の選び方
多言語サイトを依頼できる会社をネットで探すと、様々な制作会社が見つかるだろう。
ただ、どの制作会社を選べばいいのか、その基準がわからない方も多いはずだ。
そんな時は以下の基準で制作会社を選んでほしい。そうすれば、多言語サイトの制作に失敗する可能性は低い。
1. “多言語サイト制作”のノウハウ・実績があるかどうか
ここまで紹介してきた通り、国内向けのサイト制作と多言語サイト制作では、必要なノウハウが全く異なる。
和菓子を作ってほしいなら、ピザ屋ではなく和菓子屋に依頼するのと同じで、多言語サイト制作を依頼するのであれば、多言語サイトに特化した制作会社を選ぶべきだ。
欲を言えば、ターゲットとする国・地域に特化している制作会社を選んでほしい。
中国圏と欧米圏では、人々が求めているものや価値観が違うことは想像に容易いだろう。
ターゲットとする国・地域を熟知し、多言語サイト制作のノウハウと実績のある会社を選ぼう。

2. 認知獲得・アクセス獲得の提案もしてくれるか
多言語サイトで効果を感じるためには、施設やサービスを認知してもらうための施策は必須。
さらに、多言語SEOを筆頭とする、多言語サイトにアクセスを集めるための施策も重要だ。
多言語サイトを制作しても、誰にも見てもらえなかったら意味がない。
制作と合わせて認知とアクセスを獲得するための提案があるかも、しっかりと確認してほしい。

3. 自動翻訳・機械翻訳を勧めていないか
自動翻訳・機械翻訳を勧めている会社のほとんどは、多言語サイト制作のノウハウが乏しい。
自動翻訳・機械翻訳を勧める会社は、ローカライゼーションを充分にできない可能性が高いため、選ばないことをお勧めする。

多言語サイトを制作するなら「GOOD LUCK TRIP」へ
このコラムを掲載している「GOOD LUCK TRIP」は、月間PV1,000万、月間UU約400万の国内最大級インバウンドメディアを運営しており、日本国内の観光スポット・グルメ・宿泊施設・お土産など、ありとあらゆるジャンルの情報を訪日観光客に伝えてきた。また、多言語サイト制作の実績も豊富だ。
だからこそ、どのジャンルにおいても訪日観光客が知りたいことを熟知し、成功するためのポイントを押さえた多言語サイトが制作できる。
「多言語サイトを制作する予定がある」、「多言語サイトを作ったけど、なかなか効果を感じられない」という方は、ぜひ一度「GOOD LUCK TRIP」に相談してほしい。
高いコスパで認知獲得+公式ページを作れるインバウンドメディア「GOOD LUCK TRIP」
この記事をお読みのインバウンド担当者のほとんどが、そもそも自社の施設やサービスが認知されているか不安になったことだろう。
伝えてきた通り、いくら良い多言語サイトを制作しても、見られなくては意味がない。
もちろん、自社の施設やサービスが海外である程度の知名度を誇るなら、積極的に多言語サイトを制作するべきだ。
ただ、認知度がない場合は、インバウンドメディア「GOOD LUCK TRIP」の活用をお勧めしたい。
「GOOD LUCK TRIP」は多くの訪日観光客に見られているだけでなく、特に台湾・香港向けのSEOに強い。
日本語訳で「東京 観光」「東京 グルメ」など様々なビッグキーワードで上位表示している。
例えば、家族向けの施設を運営している場合、日本語訳で「東京 親子 観光」というキーワードで検索結果に1位で表示されているページから、自社の施設を紹介する記事へ誘導することで、ターゲットに認知してもらうといったことが可能だ。
また、多言語サイトの代わりとなる、施設やサービスの魅力・基本情報を伝える「公式GLTページ」も掲載できる。
認知度のない施設やサービスの場合は、多言語サイトを制作するよりも、まずは「GOOD LUCK TRIP」を活用して認知獲得+訪日観光客の受け皿となる公式GLTページを作った方がコスパ的には一番良い。
まとめ
多言語サイトの制作前に知っておくべき知識や、効果のある多言語サイトを制作する
上で押さえておくポイントなどを紹介してきた。
効果を感じられる多言語サイト制作は思ったよりも難しいと感じた方も多いはずだ。
でも安心してほしい。「GOOD LUCK TRIP」なら、インバウンドに詳しくない初心者の担当者や企業を多くサポートしてきた。
「何から始めていいかわからない」という方こそ、ぜひ「GOOD LUCK TRIP」に相談してほしい。