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外国人目線は重要? 外国人旅行者が求めるたったひとつのモノ
外国人旅行者に向けて情報発信する際、「外国人」に何がウケるのかを考える。
まず、日本人として最初に立ち止まるのは、おそらくこのポイントだろう。
「外国人目線が重要である」という言葉もどこかで聞いた気がして、余計に迷うかもしれない。
だが、安心してほしい。この記事では外国人旅行者が求めるものを、その前提から紹介していく。
記事を読めば、何をポイントに情報発信すれば良いかが明確になるだろう。
そもそも外国人目線の「外国人」とは誰なのか?
記事冒頭の問いに対する答えを先にお伝えすると、結局のところ、身も蓋もないが「何がウケる」かは「人による」。
まず、大前提として「外国人」という括りで考えることが、そもそも乱暴な話だ。
日本人以外の世界中の人々をひと括りにするような捉え方が、果たしてできるのだろうか。
仮に「アメリカ人」と限定したとしても、その趣味嗜好を“最大公約数”的にまとめることは難しい。
食を例にするとわかりやすいが、お肉が大好きなアメリカ人もいれば、動物由来の製品を口にしないライフスタイルのアメリカ人もいる。さらには、その両極端の間にグラデーションだってあるだろう。
多数派の好みを捉えて、「●●人はこれが好き」と決めこんでしまいマーケティングを行うことは、多様化が進んだ社会において、せっかくのチャンスを見落とすことにもなりかねない。
外国人旅行者と考えるので少し想像が難しくなるが、これは、対象を日本人に置き換えてみると腑に落ちる。

外国人に対する固定観念・先入観による弊害
もうひとつ先に伝えておきたい事実は、日本人の持つ外国人に対するステレオタイプなイメージは案外的外れということだ。
例えば「中国では魚の生食の習慣がない」という事実がある。
しかし、中国人には寿司は受け入れられないと考えるのは早計で、「中国人が日本に来て食べたいもの」のランキングを取ると、驚くことにどの調査でも必ず上位に「寿司」がランクインしているのだ。
普段は習慣としてないものだが、異文化を楽しむという海外旅行においては挑戦してみたいという意欲的な人は少なくない。
「●●人は、●●だ」と括ることによって情報発信をあきらめてしまうのはもったいない。
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外国人旅行者が共通して求めているモノの正体
記事の結論にもなるが、国・地域に関わらず、外国人旅行者が共通して求めているモノは「日本人目線」だ。
日本に暮らす私たちが、今、何に注目しているか、を彼らも知りたがっている。
SNSで話題になり、瞬く間に行列ができるようになったお店に、外国人旅行者も同じように並びたいと考えている。
また、日本人にとっては、日常化した当たり前になっていることにも関心がある。
特に、日本人が長く親しんできたモノやコトについて、外国人旅行者も同じように体験したいという声が多い。
「外国人旅行者に日本のコンビニで売られているサンドイッチが人気である」とニュースで話題になると、やっぱり外国人目線は重要だな、と錯覚に陥るが、冷静に考えてみてほしい。
コンビニのサンドイッチに長年親しんで購入し、マーケットニーズからさまざまな種類のものが生み出され、お店に並んでいる状況を作り出しているのは、他でもない日本人消費者だ。日常化しすぎて、その価値に気がつけていないだけである。
その「気づき」自体がとても大事なのであって、その気づきに「外国人目線」が不可欠とまではいえない。
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データからもわかる日本人目線を求める外国人旅行者
過去に「旅行サイトでどのような記事を読みたいか」と調査をしたところ、以下の結果になった。
「その土地に暮らす日本人に人気のスポットや商品の情報」に回答した人の理由には、「地元の人の日常を知りたい・体験したい」というコメントが多く見られた。
データからも、外国人旅行者が求めているモノは「日本人目線」であることがわかる。

その土地に暮らす日本人に人気のスポットや商品の情報 | 80.6% |
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訪日旅行者(自分と同じ国・地域の旅行者)に人気のスポットや商品の情報 | 8.9% |
訪日旅行者(自分と別の国・地域の旅行者)に人気のスポットや商品の情報 | 2.8% |
調査概要
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期間:2023年7月3日~7月17日
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対象:GOOD LUCK TRIPの10代~80代以上の男女ユーザー
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回答数:542(英語圏52人・中国語簡体字圏56人・中国語繁体字圏434人)
外国人目線に興ざめする外国人旅行者
自分たちが良いと思っていることを、外国人旅行者向けに発信することが意外にも有効だと理解していただけただろうか。
もちろん、100人中100人が好意的な反応をすることはない。ネガティブな反応をする人も必ずいる。
ただ、多様化が進む時代において、決めるのは情報の受け手であり、万人受けの精度を上げることに悩むより、発信する情報の魅力を上げることにエネルギーを注いだほうがいい。
「外国人旅行者にウケるに違いない」と、思い込んで作ったものに、外国人旅行者が興ざめしてしまい、思ったような成果が出なかったという事例は多い。
日本人が海外旅行に行った際に、日本人旅行者を意識してデザインされた日本語パッケージの商品よりも、読めない文字ながらも現地語で書かれて異国情緒あふれるパッケージのほうがお土産としては魅力的に思うのと同じだ。
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日本人目線の情報を外国人目線で伝わりやすい表現に
あえて、日本人目線を活用し発信していくことの有用性を知って、随分と発信のハードルが下がったのではないだろうか。
実は、多言語旅行情報サイト「GOOD LUCK TRIP」では、この「日本人目線」を大事にしている。
どのような情報を掲載するか、についてはローカルの日本人が選定。
ただし、それらを現地語で表現する際には、最大限の配慮や工夫をしている。
「外国人目線」の使いどころをあえて挙げるとすれば、この点である。
翻訳をする際に、正しく理解できる表現になっているか、心地よく読めるフォントか、文字のスペースが調整されているかなど、その配慮は言語ごとに異なり、かつ非常に細かく多岐にわたる。
GOOD LUCK TRIPでは、各言語のネイティブが丁寧にチェックすることで、その精度を高めている。
自社で発信する際も、完成した記事をネイティブにチェックしてもらい、伝わりづらい点や表現を変えたほうが良い点などはアドバイスを受け、磨き上げることが大切だ。
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まとめ
「外国人目線」にとらわれず、ローカルな日本人が自信を持っておすすめできることを、熱いパッションとともに正しく発信していく。
業種・業態に関わらず、日本人目線の情報を世界に届けることが、海外のファンを作る第一歩だろう。
コアなファンになってもらえれば、その人が魅力をさらに拡げる伝道師(エバンジェリスト)になって、さらなるファンの拡大につながるという好循環が期待できる。