
初心者必見!海外SEO・多言語SEOのキーワードの考え方と選び方
「多言語SEO・海外SEOで狙うキーワードは、日本語を直訳するだけでいいの?」という疑問をお持ちの方も多いだろう。
もちろん、日本語を直訳するだけでは、多言語SEOにおけるキーワード選定として不十分だ。
この記事では、これから多言語SEOを始める方や、取り組んでいるものの成果が出ない方に向けて、キーワードの考え方とキーワードの選び方を中心に解説する。
SEOの専門知識がない方でも理解できるよう、分かりやすく紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。
そもそもキーワード選びが重要な理由とは
多言語SEOにおいても、最も重要な要素はキーワード選びだと言っても過言ではない。
なぜなら、選ぶキーワードによって、以下のような点が大きく変わってくるからだ。
- どのようなユーザーからアクセスを集められるか
- どの程度のアクセス数が見込めるか
- どのような内容のコンテンツを用意すべきか
例えば、検索回数が多くても、自社の施設やサービスの集客に繋がらないキーワードを選んでしまうと、アクセス数は増えても来場者数や利用者数は増えない。
つまり、どのキーワードを選ぶかで、SEOの成果は大きく左右されるということだ。

多言語SEOならではのキーワード選びのポイント
日本語を直訳しただけのキーワードは、実際には検索されていなかったり、意図した意味や文脈で使われていなかったりする。
そのため、対象とする国や地域で「検索されているキーワード」に翻訳することが大切だ。
この他にも、多言語SEOならではのキーワード選びのポイントがいくつかある。
これから紹介するポイントを押さえることで、キーワード選びの失敗を避けられるだろう。
対象とする言語だけでなく国と地域も明確にする
同じ言語でも、国や地域によって使われる単語や表現などが異なる場合もある。
例えば、英語圏のアメリカ・イギリス・オーストラリアでも、使用する単語は以下のような違いがある。
日本語 | アメリカ | イギリス | オーストラリア |
---|---|---|---|
エレベーター | elevator | lift | lift |
フライドポテト | French fries | chips | chips |
そのため、言語だけでなく「どの国・地域のユーザーを対象にするのか」も明確にすることは、多言語SEOのキーワード選びでは重要だ。

日本人の感覚では出てこないキーワードも把握する
日本人が個人旅行を計画する際、「新宿 観光」「新宿 旅行」など地域名と何かしらの単語を組み合わせたキーワードを検索するケースは多い。
これらのキーワードを中国語(繁体字)に翻訳すると、以下の通りだ。
日本語 | 中国語(繁体字) |
---|---|
新宿 観光 | 新宿 景點 |
新宿 旅行 | 新宿 旅遊 |
新宿への個人旅行を検討している台湾のユーザーを狙いたい場合、上記2つのキーワードで充分なように思えるかもしれない。しかし、同様の文脈で検索されるキーワードがもう一つある。
それが「新宿 自由行」というキーワードだ。
「自由行」とは、ツアーや団体旅行に参加せず、自分で計画して自由に旅行するスタイルを指す。
日本人の感覚では「旅行先の地名 個人 観光」など、わざわざ「個人」を含めたキーワードを調べるという発想にならないだろう。
ただ、団体旅行が主流の台湾では、「自由行」がキーワードとして使われていることが多い。
旅行先の地名と「自由行」を組み合わせたキーワードは、実際に足を運ぶ可能性が高いユーザーが検索する、多言語SEOで狙うべきキーワードといえる。
このように、日本語をそのまま翻訳しただけでは捉え切れない、現地の旅行文化に根差したキーワードの存在を理解し、リサーチすることが大切だ。

多言語SEOで成果を出すキーワードの選び方
これまで紹介してきたポイントを踏まえ、多言語SEOにおけるキーワードの選び方を詳しく解説していく。
SEOにあまり詳しくない方や、有料ツールを使えない方でも実践できる方法となので、ぜひ参考にしてほしい。
STEP1:対象とする国(地域)・言語を決める
先述の通り、同じ言語であっても国や地域によって使用される単語が異なる場合がある。
また、旅行文化の違いによって、検索するキーワードが異なるケースもある。
そのため、対象とする言語だけでなく、対象の国・地域まで決めよう。

STEP2:狙いたいキーワードを日本語で考える
対象とする言語でいきなりキーワードを考えるのは難しいため、まずは日本語で狙いたいキーワードを洗い出してほしい。
キーワードを考える方法は様々だが、シンプルかつ、これまで培ったターゲット理解を活かせるのが「ターゲットのニーズからキーワードを想起する」ことだ。
訪日観光客がターゲットの場合でも、まずは日本人のターゲットをベースにキーワードを想起しよう。
1. 簡易的なカスタマージャーニーマップでキーワード案を出す
キーワードを想起する際、簡単なカスタマージャーニーマップを作成するのがお勧めだ。
カスタマージャーニーマップとは、ターゲットが施設やサービスを認知してから実際に利用するまでの行動や思考を可視化したもの。
本格的に作り込むのは大変なので、キーワードの洗い出しにおいては、以下3つのフェーズに分けて、ターゲットのニーズを書き出すだけでも充分だ。
・施設やサービスを認知するフェーズ
・施設やサービスの利用を比較・検討するフェーズ
・施設やサービスを利用するフェーズ
それぞれのフェーズごとにニーズを書き出し、そのニーズからキーワードを想起すれば、集客に繋がる可能性が高いキーワードをある程度は洗い出せるだろう。
新宿の飲食店を例にした簡易的なカスタマージャーニーは、以下の通りだ。
認知 | 比較・検討 | 利用 | |
---|---|---|---|
ニーズ | 新宿で良さそうなお店をざっくり探したい | 予算や雰囲気を比較したい | お店までのアクセスを知りたい |
キーワード | 新宿 飲食店 おすすめ | 新宿 飲食店 コスパ | 店名 アクセス |
2. 目的別にキーワード案を出す
簡易的なカスタマージャーニーマップに加えて、キーワードには目的別に以下4つの種類があることを知っておくと、より多くのキーワードを想起しやすくなるだろう。
- Knowクエリ
-
何かを知りたい時に検索するキーワード
例)「ケーキ 作り方」「明治神宮 歴史」 - Goクエリ
-
どこかに行きたい時に検索するキーワード
例)「新宿 ラーメン屋」「近くのカフェ」 - Doクエリ
-
何かをしたい時に検索するキーワード
例)「新宿 レストラン 予約」 - Buyクエリ
-
何かを購入したい時に検索するキーワード
例)「ディズニーランド チケット 購入」
3. キーワードプランナーでさらにキーワードを広げる
Googleが提供する無料のツール「キーワードプランナー」を活用すれば、これまでに洗い出したキーワードを入力することで、関連するキーワード候補を出してくれる。
もし自分で思いつくキーワードの数が少なかった場合でも、以下の手順に沿って活用すれば、効果的に候補となるキーワードを広げることができる。
-
1. キーワードプランナーを開き、「新しいキーワードを見つける」をクリック
-
2. カスタマージャーニーで出したキーワードを入力し「結果を表示」をクリック
-
3. 関連性のあるキーワードが検索回数と共に表示される
ワンポイントアドバイス)施設名・サービス名も忘れずに対策を
キーワードの洗い出しで意外と漏れやすいのが「施設名」や「サービス名」だ。
認知度がない場合は検索されないキーワードだが、Knowクエリなどで施設やサービスを知った際、施設名やサービス名で検索するユーザーは多い。
そのため、施設名やサービス名でも検索されることを想定して、しっかり対策しておこう。

STEP3:洗い出したキーワードを対象の言語に翻訳する
これまで出したキーワードを、対象の国・地域の言語に翻訳していこう。
この時に注意すべきは「直訳」せず、その国や地域の人々が実際に検索で使う自然な表現に翻訳することだ。
もしネイティブな翻訳者に依頼できる場合は、「検索するキーワードとして翻訳してほしい」旨を伝え、カスタマージャーニーマップや検索される文脈を共有しよう。
その上で、翻訳元のキーワードと同じ意味・用途で使用されるキーワードを挙げてもらえるように依頼するのが望ましい。
予算などの都合で全キーワードを翻訳者に依頼するのが難しい場合は、ChatGPTやGoogle翻訳などで機械的に翻訳し、その後にネイティブな翻訳者にチェック・修正を依頼すれば、翻訳費を抑えられるだろう。
注意点として、機械翻訳や自動翻訳のままでは、検索されない不自然なキーワードになるリスクが高い。
そのため、翻訳結果は必ずネイティブのチェックを入れるようにしよう。

STEP4:選定基準を元にキーワードを選定する
キーワードの翻訳が完了したら以下3つの基準で、対策するキーワードを選んでほしい。
- 検索ボリューム
- 見込み度(集客に繋がる可能性)
- 難易度
各基準と選定方法について詳しく解説していこう。
1. 検索ボリューム:スモールキーワードを選ぶ
キーワードプランナーを利用すれば、対象言語のキーワードの検索ボリューム(検索回数)を調べられる。
一般的に、検索ボリュームごとにキーワードは以下のように分類される。
- ビッグキーワード
- 1万以上
- ミドルキーワード
- 1,000〜9,999
- スモールキーワード
- 1,000以下
ついビッグキーワードから狙いたくなるかもしれないが、検索ボリュームが多いキーワードは競合も多く、上位表示が難しいケースが多い。
特に、これから多言語SEOを始める段階では、難易度が易しいスモールキーワードから狙うことを推奨する。

2. 見込み度:見込み度の高いキーワードを選ぶ
キーワードによって検索される文脈が異なるため、キーワードごとに獲得できるアクセスの見込み度も異なる。
優先して狙うべきは、以下3つに分類されるキーワードだ。
- Doクエリ(何かをしたい)
- Buyクエリ(何かを購入したい)
- Goクエリ(どこかに行きたい)
Knowクエリ(何かを知りたい)も、キーワードによっては集客に繋がるが、情報収集段階のユーザーによる検索が多いため、見込み度は低い。
例えば、新宿で「グッドラックパーク」というテーマパークを運営しているとしよう。その場合、集客に繋がる可能性が高いキーワードは以下となる。
- Knowクエリ
-
・新宿 観光スポット
・新宿 デートスポット
・グッドラックパーク 楽しみ方 - Goクエリ
-
・グッドラックパーク アクセス
・グッドラックパーク 行き方 - Doクエリ
-
・グッドラックパーク 予約
・グッドラックパーク おすすめ 回り方 - Buyクエリ
-
・グッドラックパーク チケット
・グッドラックパーク チケット購入方法
これまで洗い出したキーワードを4つの種類に分類していけば、見込み度も判断しやすくなるはずだ。

ワンポイントアドバイス)知名度が低い場合はKnowクエリから狙う
注意しておきたいのが、自社の施設やサービスの認知度だ。
前述の通り、集客に直結しやすいのは「施設名・サービス名×〇〇」というキーワードだが、そもそも認知されていなければ、検索すらされない。
そのため、まずはKnowクエリを対策し、検索結果上で施設やサービスの認知度を高める必要がある。
認知度が上がれば、Go・Do・Buyクエリによる集客も徐々に期待できるようになる。

3. 難易度:難易度が低いキーワードを選ぶ
キーワード選びでよくある失敗のひとつが、難易度が高いキーワードを選んでしまうことだ。
難易度が高いキーワードは、上位表示までに時間やコストがかかるため、成果が出る前に対策を断念してしまうケースも少なくない。
そのため、まずは難易度が易しいキーワードから狙ってほしい。
難易度はキーワードを実際に調べて表示されたページを見て、主に以下の基準で判断する。
・被リンクの数と質
・ページの内容
・キーワードと関連性があるページ数
難易度を正確に判断するには、有料のSEOツールを使ったり、自社サイトの状況も考慮したりと、様々な知識や作業が必要となる。
そこまでの内容を行うのは難しいため、自力で判断するなら「その検索結果に出てくるページよりも、良いコンテンツが作れそうか」を基準にするとよい。
なお、検索結果のページは対象言語で表示されるが、Google Chromeの自動翻訳機能を使えば大まかな内容を把握できる。
難しく考えすぎず、まずは「勝てそうかどうか」をざっくり見極めよう。
Google Chromeの翻訳機能を使う手順
パソコンで日本語以外の言語のページを開き、Google Chromeの自動翻訳機能を使う手順は以下の通りだ。
こちらもGoogle Chromeのアップデートによって、操作方法が変わる可能性があるため、その点は留意してほしい。
-
1. 翻訳したページで右クリックしてメニューを開き「日本語に翻訳」をクリック
-
2. Googleがページを自動翻訳する
最初に選ぶべきキーワードとは
ここまで紹介した基準でキーワードを一つひとつ精査できたら、まずはスモールキーワードの中でも見込み度が高く、難易度が低いキーワードから対策していこう。
キーワードを検索した人の知りたい情報がわかりやすく伝わる内容になっていれば、比較的早い段階で効果が実感できるはずだ。

多言語SEOだからこそ取るべきキーワード戦略とは
直近のGoogleの傾向を見ると、対策キーワードにおける「専門性」の評価比重が高まっている可能性が高い。
専門性を上げるために重要な対策は、特定のテーマやジャンルにおいて、一定数かつ高品質な記事を揃えることだ。
例えば、「新宿 観光」というキーワードであれば、
A:新宿に関するページがたくさんあるサイト
B:渋谷に関するページがたくさんあるサイト
この2つのサイトが同じようなページを作った場合、Aの方が上位表示されやすい。
つまり、「新宿 観光」というキーワードを狙うのであれば、
・新宿 グルメ
・新宿 ショッピング
などの関連性の高いキーワードを対策するページを集中的に作っていこう。
そうすれば、「新宿 観光」というキーワードだけでなく、「新宿 グルメ」や「新宿 ショッピング」も付随して検索順位が上がり、検索からの流入を効率的に増やせる。
関連性の高いキーワードを調べる方法
関連性の高いキーワードを調べる簡単な方法は以下2つだ。
- キーワードプランナーの関連キーワードを参考にする
- 最も狙いたいキーワードを実際に検索する
1. キーワードプランナーの関連キーワードを参考にする
前述した「キーワードプランナーでさらにキーワードを広げる」で、表示されたキーワード候補は関連性が高いとGoogleが判断したものだ。
そのため、最も狙いたいたキーワードをキーワードプランナーに入力すれば、関連性のあるキーワード一覧が手に入る。

2. 最も狙いたいキーワードを実際に検索する
狙いたいキーワードの検索結果には、関連性のあるキーワードが散りばめられているが、最もわかりやすいのが「サジェスト」と「再検索キーワード」だ。
サジェストとは、検索窓に入力したキーワードと関連するキーワードを提案する機能。
この機能で表示されるキーワードは、関連性がある可能性が高い。

再検索キーワードとは、検索結果の最下部に表示されるキーワード候補のこと。
このキーワード候補は、ユーザーが表示された検索結果の情報では満足できず、追加で検索する際に使用されるキーワードである可能性が高い。そのため、関連性も高いと考えられる。

多言語SEOを始める前にインバウンドメディアの活用も検討
多言語SEOを始める第一歩であり、最も重要なキーワード選びだが、成果に繋がるキーワードを選ぶだけでも大変なことはお分かりいただけたと思う。
さらに、選んだキーワードで上位表示するためには、SEOの基本と多言語SEOならではのポイントを押さえ、様々な施策を実施する必要がある。
本格的に多言語SEOへ取り組むのであれば、ある程度の予算・費用・人的リソースの確保が不可欠になるだろう。
そこまでリソースを割けない場合は、このコラムを掲載している「GOOD LUCK TRIP」を活用してほしい。
「GOOD LUCK TRIP」は、旅行ガイドブック「地球の歩き方」を制作する企業が運営する、世界中の旅行者に向けて日本の魅力を発信する多言語対応の旅行メディア。
月間PV1,000万、月間UUは約400万の国内最大級のインバウンドメディアだ。
特に台湾・香港向けのSEOに強く、日本語訳で「東京 観光」「東京 グルメ」など様々なビッグキーワードで上位表示している。
自社サイトで多言語SEOを実施しようとすると、多くのコストや時間がかかるが、「GOOD LUCK TRIP」を活用すれば、高いコストパフォーマンスで効果的な情報発信が可能だ。
まとめ
多言語SEOにおけるキーワードの考え方や選び方を、初心者でも分かりやすく解説してきたが、いかがだっただろうか。
キーワード選びを誤ると、その後の施策が全て無駄になってしまう可能性があるため、記事の内容を参考に適切なキーワードを選んでほしい。
また、多言語SEOの基本的な考え方や全体像を知りたい方は、以下の記事もチェックしてみよう。