古くから日本人に愛されてきた日本三景「松島・天橋立・宮島」の魅力
美しい海と自然が見られることから、「神が造った美の景色」とも言われる日本三景。
日本三景と言われて、どこの景観を指すのかピンとこない方も多いだろう。
この記事では「日本三景」のことをよく知らない方に向けて、日本三景がある場所とその魅力を紹介していこう。
目次
江戸時代のはじめから愛されてきた「日本三景」
日本三景とは、宮城県の松島・京都府の天橋立・広島県の宮島を指す。
江戸時代のはじめに、全国を巡り歩いた儒学者・林春斎が記した書物において、卓越した3つの景観としたことから日本三景と呼ばれるようになった
松島湾は太平洋・天橋立は日本海・宮島は瀬戸内海と、いずれも海が見える景色という共通点はあるが、それぞれの海が見せる表情は全く異なる。
雄大な景観が最大の魅力!日本三景・松島
宮城県の松島では、260もの島と太平洋から成る雄大な景観を楽しめる。
その雄大な景観は、俳句で有名な松尾芭蕉(まつおばしょう)や戦国時代の武将である伊達政宗(だてまさむね)をも魅了したと言われている。
様々な表情の松島が楽しめる四大観
松島の素晴らしい景色が見られる4つの名所・四大観(しだいかん)。
四大観には、それぞれの場所から眺めた景色の印象を表す別名がついている。
せっかく松島湾を観光するなら、松島の最高の景色を見るために、四大観を巡ってほしい。
「壮観」大高森
四大観の一つ、宮戸島の中央に聳え立つ山「大高森」。
その山頂から見える松島のパノラマは、別名「壮観」にふさわしい。
松島湾に浮かぶ島々が一望できるのは「大高森」だけだ。
「麗観」富山
松島町と東松島の境にある「富山(とみやま)」。
富山の山頂にある大仰寺の庭からの眺めは、四大観の一つに数えられており、「麗観」と名付けられている。
静寂で趣のある庭から、松島湾をほぼ正面から一望できる景観は必見だ。
「偉観」多聞山
七ヶ浜町にある「多聞山」の北端・代ヶ崎の断崖も四大観の一つ。
多聞山では、太平洋から打ち寄せる波が松島湾の島々に砕けていく、迫力ある景色が見られる。
その迫力ある景色は、別名「偉観」とも名付けられている。
「幽観」扇谷
標高55mの低山である扇谷からは、松島湾の扇のような形になった美しい入江が見られる。
その形が「扇谷」と呼ばれる由来にもなっている。
奥深く静かな景色が見られるとして、別名「幽観」と名付けられた四大観の一つだ。
歴史あるお寺を巡ろう!日本三景・松島周辺の観光スポット
松島の魅力は、松島湾の素晴らしい景観だけではない。
松島湾周辺には歴史あるお寺が数多く点在し、日本の歴史や伝統文化も楽しめる。
松島に訪れたら、松島湾や四大観だけでなく、周辺の観光スポットも散策してみてほしい。
1. 瑞巌寺
9世紀はじめに天台宗の寺として開創されたと伝わる古刹。
山号を含めた正式名称は松島青龍山瑞巌円福禅寺といい、現在は臨済宗妙心寺派に属する禅宗寺院だ。
現存する建物は伊達政宗が完成させたもので、桃山美術を今に伝える貴重な建造物であることから、本堂、庫裡が国宝に指定された。
2. 五大堂
東北地方に現存する最古の桃山建築である「五大堂」。
瑞巌寺の境外にある仏堂「五大堂」の幹回りには十二支の彫刻が配されており、お堂を一回りすればすべての干支を見られる。
天長5年(828)年に慈覚大師円仁が瑞巌寺を開く際に、「大聖不動明王」を中心に北方金剛夜叉・東方降三世・西方大威徳・南方軍荼利の五大明王像を安置したことから、五大堂と呼ばれるようになった。
3. 円通院
伊達政宗の孫、伊達光宗の菩提寺として正保4 (1647)年に建てられた円通院。
円通院は紅葉の名所として知られ、10月下旬から11月中旬にかけて見頃を迎える。
なかでも約350年前に造られた心字池と観音菩薩が住む補陀落山を中心にした庭園は、東北屈指の美しさ。
海に浮かぶ龍の姿が見られる?日本三景・天橋立の魅力
日本三景の一つ、京都府にある天橋立は「天に舞う架け橋」のような景観が最大の魅力。
全長3.6kmの砂地に約5,000本もの松が生い茂る珍しい地形は、ここでしか見られない。
場所や見方によっては、天橋立が龍の姿に見えるとして縁起が良いスポットにもなっている。
また、天橋立では「股のぞき」と呼ばれる眺め方が名物。
天橋立を背にした状態で屈み、自分の股の間から天地を逆にして眺めると、同じスポットでも天橋立の異なる表情が見られる。
「股のぞき×四大観」で天橋立の素晴らしい景観を楽しもう
松島と同じく、天橋立にも素晴らしい景観が見られる名所・四大観がある。
天橋立の景観を最大限に楽しむなら、四大観もぜひ巡ってほしい。
飛龍観
四大観の一つ、宮津市に位置する「天橋立ビューランド」。
天橋立ビューランドの股のぞき台から「股のぞき」すれば、天橋立が天に舞う龍の姿のように見える。その景観から「飛龍観」と名付けられた。
また、「股のぞき」の発祥地としても有名だ。
昇龍観
成相山の中腹に位置する傘松公園は、昇龍観と呼ばれる四大観の一つ。
傘松公園の股のぞき台で「股のぞき」すれば、天橋立が右肩上がりに勢いよく天へと登っていく「龍」のように見えるとして、縁起が良いスポットにもなっている。
雪舟観
獅子崎稲荷神社の鳥居が並ぶ階段を上った先にある、四大観の一つ「天橋立雪舟観展望所」。
有名な水墨画家である雪舟が描いた国宝「天橋立図」と似た構図で、天橋立が見られるとして「雪舟観」とも呼ばれている。
雪舟観を訪れたら、ぜひスマホで画像検索して国宝「天橋立図」と実際の風景を見比べてみてほしい。
一字観
四大観の一つ「一字観公園」から望む天橋立は、横一文字に見えることから「一字観」と呼ばれている。
ライトアップされた宮津市と天橋立も絶景なので、夜景を見に行くのもお勧めだ。
パワースポット巡りを楽しもう!天橋立周辺の観光スポット
京都府宮津市には、天橋立の他にもパワースポットや歴史ある建造物が多い。
縁起の良い昇り竜を眺めたら、歴史ある神社でさらに縁起を担いでみてはいかがだろうか。
1. 元伊勢籠神社
古くは匏宮(よさのみや)と呼ばれ、伊勢神宮ができるはるか前から豊受大神を祀っていた神社。崇神天皇の時代に大和国から天照大神が遷り、4年間お詣りした。
その後伊勢神宮が創祀され、天照大神と豊受大神はそこに祀られることになったことから、「お伊勢さまのふるさと」として知られる。
背後の山を登ったところには匏宮の歴史を今に伝える奥宮、真名井神社があり、豊受大神と天照大神の磐座(いわくら)や真名井の御神水が創建以来の歴史をいまに伝えている。
2. 天橋立神社
天橋立の中に静かに佇む「天橋立神社」。
天橋立にはいくつもの龍伝説が残っており、天橋立神社では八大龍王を祀っている。
神社の手水には、海に囲まれているにも関わらず真水が湧く、不思議な井戸の水が使われている。
また、恋愛成就のパワースポットとしても人気が高い。
3. 旧三上家住宅
江戸時代の豪商の住宅「旧三上家住宅」では、酒造施設や名勝にも指定されている庭園、格式高い座敷など、当時の建物や庭園が楽しめる。
住宅自体も美しい漆喰の白壁で覆われており、迫力ある佇まいとなっている。
その価値の高さから平成15(2003)年に、国の重要文化財に指定された。
江戸時代の歴史ある建造物に興味がある方は、ぜひ訪れてほしい。
鳥居と海のコントラストが生む神秘的な景観!日本三景・宮島の魅力
世界遺産にも登録されている、瀬戸内海に浮かぶ嚴島神社の大鳥居がシンボルの宮島。
朱塗りの大鳥居と静謐で美しい海のコントラストは、多くの人々を魅了し続けている。
古来より神々の島として崇められ、島全体が聖地化しているため、豊かな自然が残るのも宮島の特徴の一つだ。
霊験あらたかな宮島の観光スポット
松島・天橋立と同じく、宮島にも寺社仏閣やパワースポットが多い。
美しい景観だけでなく、日本の歴史・伝統も楽しめるスポットを厳選して紹介しよう。
1. 嚴島神社
神の島と呼ばれる嚴島に建てられた嚴島神社。
推古天皇元年(593年)に、佐伯鞍職により創建されたのがはじまりと伝えられている。
天照大神の子である「市杵島姫命 」、「田心姫命」 、「湍津姫命 」の三女神が祀られている。
多くのご利益を授けてくれる事で有名であり、三女神は海の神、交通運輸の神、財福の神、技芸の神として信仰されている。
2. 弥山
宮島の中で最も標高が高い弥山。
山頂の弥山展望台から見える、宮島一帯の景色は壮観だ。
初代内閣総理大臣の伊藤弘文は、山頂の景色を眺めて「日本三景の一の真価は頂上の眺めにあり」と驚嘆したと言われている。
空海が開山し修行したことから「霊山」としても有名。
3. 宮島弥山 大本山 大聖院
空海が大同元(西暦806)年に開基した「大聖院」は、1200年以上もの歴史を持つ真言宗御室派の大本山。
「日本三大厄除け開運大師」の一つに選ばれるほど、厄除け開運のご利益が大きい。
また、大聖院の中でも最古の建物である「大師堂」の裏手には、願い事を一つだけ念じると願いを叶えてくれる一願大師が鎮座している。
宮島へ訪れるなら、日本屈指のパワースポットにもぜひ訪れてみてほしい。
まとめ
江戸時代から日本人に愛され続けてきた日本三景。
その素晴らしい景観だけでなく、日本三景の周辺にもパワースポットや歴史ある神社仏閣が多く、日本の美しい景色・歴史・文化を楽しめる魅力的な観光地だ。
松島・天橋立・宮島、それぞれ違った景観と魅力があるので、日本三景を巡る旅に出てみてはいかがだろうか。