【多摩動物公園楽しみ方ガイド】出会えるのはアリからゾウまで!ハイキング気分で巡れる動物園

【多摩動物公園楽しみ方ガイド】出会えるのはアリからゾウまで!ハイキング気分で巡れる動物園

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筆者 : 矢巻 美穂

京王電鉄新宿駅から最速41分で到着する多摩動物公園駅。
駅を降りたらすぐに正門が見えるほど電車でのアクセスが良好で気軽に行ける動物園。
アリからゾウまで幅広い動物や昆虫に出会える人気のスポットだ。

自然豊かな園内で、ありのままの動物の暮らしを覗いてみよう

1958年に開園した首都圏最大級の動物園で、約52.3haの敷地面積の中には多種多様な動物が暮らしている。
園内は自然が豊かで、春には桜、秋には紅葉樹が色づき四季折々の景色が楽しめる。
広い敷地と多摩丘陵の豊かな自然を活かし、ライオンやキリン、モウコノウマなど野生で群れをつくる動物はできるだけ群れで飼育している。群れの中での個体同士の関わりやさまざまなしぐさを観察することができる。

多摩動物公園の攻略法は、見たいポイントを決めたら、あとは焦らず時間をかけてゆっくりと回ること。なぜなら、敷地が広い上に多摩丘陵の起伏に富んだ地形の中にあるからだ。最大の高低差は約50m、小高い山をハイキングするような感覚を体感できる。日頃の運動不足を解消しながら、動物たちを鑑賞しよう。本記事では、特に見逃せない見どころをいくつかピックアップするので、ぜひ参考にしてほしい。

ライオンが間近に!迫力満点の「ライオンバス」

園内はアフリカ園、オーストラリア園、アジア園、昆虫園の4つのエリアに分かれている。
まず、会いに行ってみたのは、アフリカ園にいるライオンだ。
ここは、バスに乗ってライオンを見るという「サファリ形式」の展示スタイル。
今ではサファリパークなどでもおなじみのこのスタイルを、世界で最初に取り入れたのがここ多摩動物公園だ。
「ライオンバス」は1964年に運行開始し、2024年60周年を迎えた。

「ライオンバス」に乗車するには、入園料(大人600円)に含まれない乗車券(大人500円)が別途必要
「ライオンバス」に乗車するには、入園料(大人600円)に含まれない乗車券(大人500円)が別途必要
英語、繁体・簡体の中文とハングルの多言語対応の自動券売機は、現金のほか各種キャッシュレス決済が利用できる
英語、繁体・簡体の中文とハングルの多言語対応の自動券売機は、現金のほか各種キャッシュレス決済が利用できる
シマウマ柄がペイントされた「ライオンバス」
シマウマ柄がペイントされた「ライオンバス」
座席はすべて外向きに設置。大きなガラス窓で見やすい造り
座席はすべて外向きに設置。大きなガラス窓で見やすい造り

「ライオンバス」に乗りおよそ10分のサファリツアーへ。
ここでは、ライオンの群れがくらす運動場にバスで入ることができる。
なかま同士が頭をこすりあったり、寄り添ったり、吠えたり、ときにはケンカをすることも。
ライオンは、ネコ科では珍しく群れで生活する。ライオンのコミュニケーションの取り方を間近で観察してみよう。

のんびりと過ごすライオンの姿に和む
のんびりと過ごすライオンの姿に和む
牛骨をなめるメスのライオン
牛骨をなめるメスのライオン
窓越し近距離で見られることも
窓越し近距離で見られることも

大きく取られた窓からは、ライオンの大迫力の姿が間近で見られる。
乗車中はフラッシュを使わなければ、写真撮影も可能だ。
至近距離で撮影できるのも「ライオンバス」の醍醐味で、貴重な姿をカメラに収めようと多くの人が撮影に夢中。

悠然と歩くアフリカゾウ
悠然と歩くアフリカゾウ
ガラス一枚隔ててチーターと向き合う
ガラス一枚隔ててチーターと向き合う
キリンの繁殖数は日本一で、常時たくさんのキリンが群でくらす姿が見られる
キリンの繁殖数は日本一で、常時たくさんのキリンが群でくらす姿が見られる

多摩動物公園オリジナル!「サバンナキッチン」のオススメ料理

広い公園内には、4つのフードショップがあり、しっかりとした食事からファストフード、ドリンクなどが楽しめる。
さあ、やってきたのはサバンナキッチン。
ここではカレーやスパゲッテイ、ハンバーグなどの食事メニューのほか、珍しいアフリカ料理も堪能できる。

サバンナキッチン:アフリカ園の高台にあるレストランの入った無料休憩所
サバンナキッチン:アフリカ園の高台にあるレストランの入った無料休憩所
シマウマやキリンなどサファリ柄のかわいいイス
シマウマやキリンなどサファリ柄のかわいいイス
カウンターでオーダーするスタイル
カウンターでオーダーするスタイル
メニューは英語表記もある
メニューは英語表記もある

オーダーしたのは、ケニア料理の「ビーフカランガ」と西アフリカ料理の「ジョロフライス」。
どちらも多摩動物公園のスタッフが日本人の口に合うように具材や味付けを調整したオリジナルメニューで、他所では食べられない味だ。
また、コーヒーはレインフォレスト・アライアンス認証のコーヒー豆を使用。
環境保全はもちろん労働者の人権にも配慮する等、厳しい基準要件を満たす認証農園で生産されたもので、地球や環境に優しいおいしいコーヒーが味わえる。

ビーフカランガ(左)とジョロフライス(右)
ビーフカランガ(左)とジョロフライス(右)
動物のイラストが入ったかわいい紙コップ
動物のイラストが入ったかわいい紙コップ

生きている虫たちに出会える動物園の中の「昆虫園」

「アリからゾウまで見られる動物園」をコンセプトに掲げる多摩動物公園。
動物園の中に昆虫園があるのは珍しく、さらに標本ではなく生きている姿が見られるとあって、注目のスポットなのだ。
昆虫園は、本館と生態園とふたつの建物があり、昆虫を中心に100種近い生き物が展示されている。

本館と生態園の間の広場にあるトノサマバッタのオブジェは撮影スポット
本館と生態園の間の広場にあるトノサマバッタのオブジェは撮影スポット
ガラス張りの温室は1年を通して20℃以上に管理
ガラス張りの温室は1年を通して20℃以上に管理

まずは15種類1000匹の蝶が舞う生態園へ。
天井がガラスの温室は中に入ると暖かく、蝶が優雅に舞う姿を目の前で楽しめる。
中央には世界三大花木のひとつの「ホウオウボク」があり、一年を通じて緑豊かだ。

「蝶のレストラン」でお食事中
「蝶のレストラン」でお食事中
蜜皿に蝶が集まっている
蜜皿に蝶が集まっている
ひと際目を引く美しいベニモンアゲハ
ひと際目を引く美しいベニモンアゲハ

自由に飛び回るチョウに加え、じっくりと蝶が見られる仕掛けも。
各所に「蝶のレストラン」という蜜の皿を設置、その場に留まって蜜を吸う姿を観察できる。
「蝶は色や形を認識するので、蜜のところには造花を添えているんです。」と話してくれたのは、昆虫園飼育展示係の碓田さん。
よく見てみると、それぞれの蜜の皿にはいろいろな造花が確認できる。

昆虫の飼育に日々奮闘している昆虫園飼育展示係の碓田さん
昆虫の飼育に日々奮闘している昆虫園飼育展示係の碓田さん
日本人にはなじみのあるホタルを展示
日本人にはなじみのあるホタルを展示

温室を出てからも展示は続く。注目はトノサマバッタで、成長過程が順番に見られるように展示されている。
「昆虫が成長していく様子を生体で展示するため、成長段階の異なるトノサマバッタを同時に飼育しています。万一、どこかの段階で全滅してしまうと成長過程の展示ができなくなってしまうので、日々緊張感があります(碓田さん)」。

トノサマバッタの幼虫から成虫までの成長過程を展示
トノサマバッタの幼虫から成虫までの成長過程を展示

さあ、続いては隣の本館へ。

輸入禁止昆虫のため、国から特別な許可をもらい飼育展示しているハキリアリ
輸入禁止昆虫のため、国から特別な許可をもらい飼育展示しているハキリアリ
自分の体より大きな葉っぱを運ぶ
自分の体より大きな葉っぱを運ぶ

多彩な昆虫が展示されているが、なかでも注目したいのはハキリアリだ。
日本では多摩動物公園にしかいない目玉と呼ぶべき昆虫だ。
葉を嚙み切って運び、その葉で菌園を作って、作った菌を食べるという変わった生き物。
懸命に葉を運ぶハキリアリが愛おしく、ずっと見ていても飽きない。

どこにいるかわかるかな。葉に擬態するオオコノハムシ
どこにいるかわかるかな。葉に擬態するオオコノハムシ

タスマニアデビルやコアラなど多彩な動物に出会えるアジア園、オーストラリア園へ

さあ、次はアジア園とオーストラリア園を巡ってみよう。
アジア園ではアジアゾウやオランウータン、ユキヒョウ、レッサーパンダなど、オーストラリア園ではコアラやタスマニアデビル、カンガルーなどの動物が見られる。

広い放飼場と屋内飼育施設でのびのびとしたアジアゾウの姿が見られる
広い放飼場と屋内飼育施設でのびのびとしたアジアゾウの姿が見られる
ボールを揺らし、中に入っているエサをとろうとするアジアゾウ
ボールを揺らし、中に入っているエサをとろうとするアジアゾウ
日本では多摩動物公園にしかいないタスマニアデビル
©公益財団法人東京動物園協会 日本では多摩動物公園にしかいないタスマニアデビル
1984年、日本で初めてコアラの展示を始め2024年に来園40周年を迎えた
1984年、日本で初めてコアラの展示を始め2024年に来園40周年を迎えた

オーストラリア園のコアラの展示は円形になっていて、さまざまな方向からコアラを見ることができる。
また、コアラ館近くにある「コアラ館下売店」にぜひ寄ってほしい。
ここの名物は「多摩ZOO醤油ラーメン」。園内を歩いた後に、広いテラス席でのんびりと食べるラーメンは格別だ。

コアラ館近くにある「コアラ館下売店」
コアラ館近くにある「コアラ館下売店」
のどごしのよい麺が特徴の「多摩ZOO醤油ラーメン(880円税込)」
のどごしのよい麺が特徴の「多摩ZOO醤油ラーメン(880円税込)」

おみやげにオススメな多摩動物公園限定グッズ

園内を満喫したら、最後は多彩なアイテムが揃うギフトショップへ。
Tシャツやぬいぐるみ、バッグにキーホルダー、帽子など動物がモチーフのグッズがずらりと並ぶ。
タスマニアデビル関連グッズは、多摩動物公園限定なのでぜひチェックしたい。

正門近くにあるギフトショップ「コレクション」
正門近くにあるギフトショップ「コレクション」
広い店内でゆっくりとお買い物
広い店内でゆっくりとお買い物
いちばん人気のタスマニアデビルグッズ
いちばん人気のタスマニアデビルグッズ
センスのよい手ぬぐいも人気
センスのよい手ぬぐいも人気
Tシャツはキッズサイズから大人サイズまでが揃う
Tシャツはキッズサイズから大人サイズまでが揃う

まとめ

最寄り駅から徒歩1分というアクセス良好な多摩動物公園。正門を一歩くぐれば、多摩丘陵の自然が広がり、日本ならではの四季を体感することができる。「アリからゾウまで見られる動物園」の言葉どおりで、昆虫から大型動物まで幅広い種類の動物がのびのびと暮らす。馴染みある人気動物も群れで暮らす様子やさまざまな角度から観察でき、新たな一面を発見できるはず。好奇心を満たす充実した一日が過ごせること間違いなしだ。

矢巻 美穂

筆者

フォトグラファー

矢巻 美穂

国内外の旅行雑誌を中心に活動するカメラマン