【初心者も通も必見】魅力・種類・マナーがわかる!日本のラーメン完全ガイド
国民のソウルフードとして愛される「ラーメン」は、日本人にとって単なる食事を超えた特別な存在だ。
ラーメン屋だけでなく家庭にも浸透し、世代を問わず大人から子供まで日常生活に深く溶け込んでいる。
地域ごとに独自の味・スタイルを持ち、各地でオリジナルの1杯を楽しめるのも魅力のひとつ。
この記事では日本のラーメンの起源や種類、全国の有名なご当地ラーメンを中心に紹介する。
日本のラーメンを美味しく食べられるように、ラーメン屋に入る時のマナー・注意点についてもまとめたので、ぜひ最後まで読んでほしい。
多様性に富んだ日本の国民食「ラーメン」
ラーメンは、麺・スープ・具材から構成される日本の国民食のひとつ。
- 麵
- 小麦粉を原料にした中華麺が主流、太さや形状が異なる多様な種類がある
- スープ
- 醤油(しょうゆ)、塩、味噌、豚骨などに分かれ、多彩な味付けかつ独特な風味が感じられる
- 具材
- チャーシュー、メンマ(竹の子の漬物)、ネギ、煮卵、海苔などが一般的
麺の食感、スープの風味、具材の組み合わせが絶妙に調和して1杯のラーメンが出来上がる。
お店では職人の技が光る深い味わいを楽しめる一方で、家庭でも手軽に食べられる多様性に富んだ奥深い料理だ。
日本国内のみならず、世界中で人気が高まり、各国でローカライズされたラーメンも親しまれている。
日本のラーメンの起源
諸説あるが日本のラーメンの起源は、明治時代(1868年~1912年)末期から大正時代(1912年~1926年)ごろとされている。
当時、中国からの移民・留学生が日本に持ち込んだ料理、いわゆる「中華そば」がラーメンの原型となり次第に広まっていった。
横浜や神戸などの港町に中華街が形成されると、中華料理店・屋台などで日本人向けにアレンジした「南京そば」・「支那そば」の提供が始まる。
この頃は見た目がシンプルで中国の麺料理に近かったようだが、次第に日本独自の工夫が加えられ、1910年に日本初のラーメン専門店「来々軒」がオープン。
戦後に入ると即席ラーメンの登場によって家庭でも手軽に楽しめるようになり、1970年代前後にはラーメンの存在が全国に知れ渡った。
1980年後半にかけてラーメンブームの到来、2010年代にイタリアン・フレンチといった異業種との融合といったラーメン文化の発展を経て現在に至る。
日本でよく食べられる5種類のラーメン
一口にラーメンといっても様々な種類があるので、通常は”○○ラーメン”と呼ぶことが多い。
同じラーメンでも味わいやスープなど異なる個性を持っており、人によって好みのラーメンも違う。
まずは代表的な5つのラーメンの特徴を紹介していく。
日本で初めてラーメンを食べる人は、内容を参考に気になるラーメンから挑戦しよう。
1. 醬油ラーメン
「醤油ラーメン(同義:中華そば・正油ラーメン)」は、最も有名なラーメンのひとつ。
上述した「来々軒」で提供されたものが日本初と言われており、日本ラーメンの原型とも呼べる長い歴史を持つ。
一般的にスープは、鶏ガラや豚骨、魚介類などから取った出汁に醤油ダレを加えて作られる。
香ばしい醤油の風味と旨味が際立った、親しみやすい味わいが特徴。
地域にもよるが、単にラーメンと聞いた場合は「醬油ラーメン」をイメージする人が多い。
日本人にとって、「醬油ラーメン」は懐かしさと安心感をもたらす生活に深く根付いた存在だ。
2. とんこつラーメン
「とんこつラーメン」は、濃厚でクリーミーな味わいのラーメン。
豚骨を長時間煮込んで作られる白濁したスープが最大の特徴だ。
骨の髄から出る旨味とコラーゲンが溶け出し、濃厚でありながらもまろやかで、豚骨の風味がしっかりと感じられる。
スープによく絡む細麺が使われることが多く、ニンニク・紅ショウガなどのトッピングを加えるのが一般的。
日本人にとって、「とんこつラーメン」は”九州の味”というイメージが強く、特に発祥の地とされる福岡県の博多・久留米ではソウルフードと言える存在だ。
独特な味が癖になることから、深夜や飲み会後によく食べられることが多い。
3. 味噌ラーメン
「味噌ラーメン」は、まろやかさと少しの塩味が調和したコクがあるラーメン。
スープは鶏ガラや豚骨などをベースに、出汁に味噌を加えて作られる。
この味噌タレがラーメンの味を左右するため、各店舗では思いとこだわりが詰まった特製味噌を使っている。
具沢山でどっしりとした満足感が得られる点も他のラーメンと異なる点だ。
主に炒めた野菜(もやし・キャベツ・ニラなど)やバターが入っており、具材の食感と甘みがスープを引き立てる。
中太ちぢれ麺と濃厚なスープとの相性も抜群で、万人受けする味わいと言えるだろう。
北海道の札幌が発祥の地とされるだけあって、日本人にとって「味噌ラーメン」は寒い季節に体を温めてくれる家庭的で親しみやすい存在だ。
4. 塩ラーメン
醤油ラーメンと並んで古い歴史を持つ「塩ラーメン」は、あっさりとした繊細なラーメン。
美しい透明なスープは鶏ガラ・豚骨・魚介・昆布などをベースに塩ダレを加えて作られる。
他のラーメンと違い、素材の持つ自然な旨味が直接反映し、シンプルながらも洗練された味わいが特徴だ。
基本的にスープに合う細麺や中細麺が使われ、具材はチャーシュー・メンマ・ネギのほか、柚子・鶏肉などでアクセントをつけるお店も多い。
軽やかな口当たりで食べやすく、重さを感じにくい1杯として親しまれている。
日本人にとって「塩ラーメン」は、その奥深さから地域・お店ごとに個性が光る日本のラーメン文化の多様性を象徴するような存在だ。
5. 鶏白湯ラーメン
「鶏白湯(とりぱいたん)ラーメン」は、鶏特有の自然な甘みと風味が感じられるラーメン。
種類は幅広いが主にスープは鶏ガラ・鶏肉を長い時間煮込んで骨髄などを引き出し、タレを加えて作られる。
鶏の旨味が凝縮された白く濁ったスープは、まろやかなコクがありつつも、とんこつラーメンより軽めで上品な印象を与える。
クセ・臭みがないので食べやすく、一口ごとにリッチな満足感を楽しめるのが特徴。
日本人にとって、「鶏白湯ラーメン」はヘルシーでおしゃれなイメージが強く、比較的新しいジャンルのラーメンだ。
特に女性および健康志向の方に人気が高い。
独特なスタイルに進化を遂げた2種類のラーメン
続いて、少し変わったスタイルのラーメンを2つ紹介する。
広義ではラーメンに分類されるが、一般的なものとは見た目・食べ方などが異なることから、別々のものだと考える人もいる。
どちらもスープやタレを絡めて食べるため、自分好みに味を調整しやすい自由度の高さが特徴だ。
日本ではよく知られた人気スタイルのひとつで街中には専門店も多いので、こちらのラーメンも旅行中に試してみよう。
1. つけ麺
「つけ麺」は、麺とスープを別々に提供されるラーメン。
もりそばのように麺をスープにつけて食べるのが特徴だ。
「つけ麺」は水(冷盛)もしくはお湯(熱盛)で締めてから皿に盛り付けるのが、普通のラーメン(麺を茹でた後は湯切りをして器に入れる)との大きな違い。
これにより麺が引き締まり、コシが強く舌触りの良い食感を生み出す。
スープは濃度が高くてドロッとしたものが多く、しっかりと絡むように太めの麺が使われている。
麺の存在感が強く風味を直接感じられ、一口ごとに深い味わいが広がるのが魅力と言える。
スープの量や浸す時間を変えれば自分好みの味に調整でき、最後にスープ割り(食後にスープを薄めて飲む)を楽しめる点も人気の理由。
「つけ麵」も日本人にとっては、メジャーな存在である。
2. 油そば
「油そば」は、スープが全くない(ほとんどない)状態で提供されるラーメン。
スープの代わりに醬油ベースの特製タレ、油を麺全体に絡めて食べるスタイルが特徴だ。
濃厚な味付けの旨味がダイレクトかつ均一に届くため、食後は満腹感に包まれる。
ラーメン・つけ麵と比べると、「油そば」の方が麺そのもののコシや質感、味わいに重きを置いている。
スープがない分カロリーが控えめで、やけどの心配がない・胃もたれを起こしづらいのも「油そば」ならではの良さ。
また、お酢・ラー油などの調味料をかければ好みの味にカスタマイズでき、途中で味変を楽しめるのも魅力のひとつ。
ご当地ラーメンを食べるなら「日本三大ラーメン」から
地域ごとに、その土地の食文化や素材を生かした独自のスタイルや味を持つ「ご当地ラーメン」があり、その中でも特に有名な3つのラーメンを「日本三大(ご当地)ラーメン」と呼ぶ。
日本三大ラーメンは、地域の名物として地元民だけでなく観光客からも愛され、旅行の楽しみにもなっている。
そんな日本三大ラーメンのそれぞれの特徴・魅力を紹介しよう。
1. 札幌ラーメン
「札幌ラーメン」は、北海道札幌市を代表するご当地ラーメン。
濃厚でコクが深い味噌ベースのラーメンで、寒冷地にピッタリな体の芯から温めてくれる特徴を持つ。
スープには、味噌の旨味を引き立てる豚骨や鶏ガラを煮込んだ出汁が使用され、麺は相性の良い中太ちぢれ麵を用いることが多い。
味噌ラーメンらしく、炒めたもやし・タマネギ・キャベツなどの野菜がたっぷりと乗り、シャキシャキとした食感を楽しめる。
トッピングにバターやコーンも加えれば、北海道らしいまろやかな風味を感じられて美味しさが増す。
2. 博多ラーメン
「博多ラーメン」は、福岡県の博多地区を代表するご当地ラーメン。
九州地方から広がったとんこつラーメンの中心的存在であり、白濁した見た目とクリーミーなスープが特徴だ。
スープとの相性が抜群な極細のストレート麺が使われ、茹で時間が短くスピーディーに提供される。
麺が伸びやすいため、比較的量が少なく注文の際に好みの硬さを選べるのも「博多ラーメン」ならでは。
具材はチャーシュー・ネギ・キクラゲ・紅しょうがなどが定番だ。
また「替え玉」という麵だけを追加でオーダーできるシステムが一般化しており、1杯のスープで何度でも麺を楽しめる。
濃厚ながらも食べ飽きない味わいと手軽さが「博多ラーメン」の魅力だろう。
3. 喜多方ラーメン
「喜多方ラーメン」は、福島県喜多方市を代表するご当地ラーメン。
あっさりとした素朴な味わいで、どこか懐かしさを感じさせるのが特徴だ。
スープは醤油ベースに豚骨や鶏ガラ、煮干しなどを使って出汁を取っており、透明感と風味が際立つ。
麺は「平打ち熟成多加水麺」と呼ばれるスープとよく絡む太めのちぢれ麺で、手打ち風のもちもちとした食感が楽しめる。
良くも悪くもオーソドックスなタイプと言われ、見た目に特徴はなく、具材もチャーシュー、メンマ、ネギといった一般的な構成になっている。
喜多方市では朝にラーメンを食べる「朝ラー」という文化が根付いており、午前中から営業しているお店も多い。
日本全国で有名なご当地ラーメン9選
繰り返しになるがご当地ラーメンとは、地域ごとの食文化や素材を生かした独自の特色を持つラーメンである。
全国各地にはおよそ200種類ものご当地ラーメンが存在すると言われている。
ここでは特に有名な9つのご当地ラーメンを紹介していく。
その地域に足を運んだら、該当のラーメンを食べて本場の味を体験しよう。
1. 【北海道】旭川ラーメン
「旭川ラーメン」は、北海道旭川市を代表するご当地ラーメン。
一般的に豚骨や鶏ガラから取った動物系スープと、煮干しや昆布を使った魚介系スープに醤油ダレを合わせた「ダブルスープ」によって提供される。
この技法により、濃厚さと香り高い風味が絶妙に調和した奥行きのあるスープを味わえる。
最後まで温かい状態で食べられるよう、スープ全体をラードで覆うことで熱を閉じ込めているのも大きな特徴だ。
麺はスープとよく絡む中細のちぢれ麺が主流で、食べ終わる頃には体がポカポカになる。
近年はバリュエーションが広がり、多種多様な種類もよく見られる。
2. 【北海道】函館ラーメン
「函館ラーメン」は、北海道函館市を代表するご当地ラーメン。
函館市内では「ラーメン」や「支那そば」と呼ばれ、中華料理店で提供されることが多い。
発祥は定かではないが、中国から伝わったモデルを継承し、日本における塩ラーメンのルーツとも言われている。
透き通った塩ダレのあっさりとしたスープが特徴で、北海道のラーメンの中でも特に上品で優しい味わいを感じられる。
スープを引き立てるように具材はシンプル、麺は相性が良い中細のストレート麺が一般的で滑らかな口当たりが魅力だ。
3. 【福島】白河ラーメン
「白河ラーメン」は、福島県白河市を代表するご当地ラーメン。
コシの強さと滑らかな食感を楽しめる、多加水の幅が広いちぢれ麺が最大の特徴だ。
伝統的には手打ちで作られるが、近年は少なくなっている。
スープは鶏ガラベースの澄んだ醤油味が主流で、コクがありながらもあっさりとした味わいが魅力。
具材はチャーシュー・ナルト・メンマなどが基本形で同じ福島の喜多方ラーメンと共通点が多い。
4. 【富山】富山ブラック
「富山ブラック」は、富山県富山市を代表するご当地ラーメン。
真っ黒な見た目のインパクトとパンチの効いた味わいで、一度食べたら忘れられない強烈な存在感を放つ。
醤油をベースにとても濃い味付けがされ、塩分が高めのがっつり系の仕上がりが特徴だ。
太めのストレート麺に具材は通常のものと変わらないが、やわらかいチャーシュー・多めのネギ・大量の粗挽き黒胡椒がかかっている。
もともとは労働者の塩分補給食(おかず)として作ったのが理由で塩辛いため、白ごはんと一緒に食べるのがお勧め。
5. 【新潟】新潟濃厚味噌ラーメン
「新潟濃厚味噌ラーメン」は、新潟県を代表するご当地ラーメン。
大きな丼にモチモチの太麺とたっぷりの野菜(モヤシやキャベツなど)が入った満足感を与える一杯。
味噌ベースに豚骨・鶏ガラ・野菜の旨味を組み合わせたスープは、こってり濃厚で新潟の寒い気候にピッタリな力強い味わいに仕上げられている。
別容器で「割りスープ」がセットになっており、味・濃さを自分の好みに調整して食べるという珍しいスタイルが大きな特徴だ。
6. 【栃木】佐野ラーメン
「佐野ラーメン」は、栃木県佐野市を代表するご当地ラーメン。
良質な佐野の水を使った醬油ベースのスープは、澄み切った見た目と優しい風味が感じられる。
麺は竹を使って打つ”青竹打ち”という伝統的な製法で作られ、不揃いのちぢれ具合がコシの強い美味しい舌ざわりを生み出す。
具材はチャーシュー・ネギなど一般的なものが入り、あっさりとしていて食べやすい。
現在も各店で青竹打ちの技術を受け継ぎ、そこに独自の個性を加えた手作りの丁寧な一杯を楽しめる。
7. 【広島】尾道ラーメン
「尾道(おのみち)ラーメン」は、広島県尾道市を代表するご当地ラーメン。
豚の背脂が浮かんだ醤油ベースのスープ、柔らかい食感の平打ち中細麺が特徴だ。
スープは鶏ガラ・豚骨をベースに煮干しや小魚を加えた出汁で作られ、背脂がまろやかさとコクを加える。
風味が豊かで奥深い味わいを楽しめ、具材はメンマ・ネギなどのシンプルなもので構成されることが多い。
8. 【和歌山】和歌山ラーメン
「和歌山ラーメン」は、和歌山県を代表するご当地ラーメン。
地元では「中華そば」と呼ばれ、やや黄色のちぢれ麵と一般的な具材にプラスでかまぼこが入っているのが特徴だ。
卓上には有料のゆで卵や早なれ寿司(鯖寿司)が置かれており、これらを食べながら待つのが和歌山のラーメンスタイルである。
味の決め手となるスープによって、「井出系」と「車庫前系」の大きく2系統に分かれる。
いずれもとんこつ醤油ベースだが、「井出系」は濃厚で全国的には知名度が高い、「車庫前系」はスープが澄んでいてあっさりとした味わいというのが違い。
現地で伝統的な味の食べ比べを楽しむのもお勧め。
9. 【福岡】長浜ラーメン
「長浜ラーメン」は、福岡県の長浜地区を発祥とするご当地ラーメン。
もともとは漁港に近い長浜市場で働く人々のために、短時間で提供できるように工夫したことで生まれた。
「屋台ラーメン」とも呼ばれ、濃厚なとんこつスープに極細のストレート麺を合わせたコクのある味わいが特徴だ。
今ではお馴染みとなった「替え玉」の発祥の地も長浜とされる。
博多ラーメンと非常に似ており明確な違いもないので、「博多長浜ラーメン」と名乗るお店や一括りで紹介しているメディアも多い。
代表的な「〇〇系ラーメン」も知っておこう
ご当地グルメやラーメンの種類とは別に、「○○系」という呼び方でカテゴライズされるものもある。
ご当地ラーメンの発展とともに特定の店舗が独自のスタイルを確立し、その味や調理法を受け継ぐお店や弟子が登場して「○○系」が生まれた。
またラーメンブームに伴い、新たな味や型が求められると、消費者の多様なニーズに応える形で派生し広がった。
現在も進化は続いており、日本のラーメン文化を豊かにするひとつの要素となっている。
代表的な4つの「○○系ラーメン」を紹介しよう。
1. 家系
「家系ラーメン」は、1974年に神奈川県横浜市で発祥した「吉村家」を源流とするラーメンを指す。
“家系”という名称は、創業者の吉村実氏が自らの店名に「家」を付けたことが由来である。
その後、弟子たちが同じスタイルで「○○家」と名乗った店を開業していき徐々に広まった。
ただし、店名に家が付く全てのラーメン屋が家系というわけではない。
濃厚なとんこつ醤油スープと太いストレート麺が主流で、表面には鶏油が浮かび、まろやかさと香ばしさを感じられるのが特徴だ。
ガッツリとした味わいは若者・男性に人気が高い。
具材はほうれん草、チャーシュー、海苔が基本でトッピングの追加や味の濃さ、麺の硬さなど個々の好みに合わせた1杯が楽しめる。
2. 二郎系
「二郎系ラーメン」は、東京都港区三田にある発祥の「ラーメン二郎」、そこからのれん分けした派生店で提供されるラーメンを指す。
“二郎”という名称は創業者の山田拓美氏が自らの店名に付けたもので、「二郎」や「インスパイア系」と呼ばれる独自のラーメン文化を形成した。
最大の特徴は、モヤシやキャベツ、厚切りチャーシュー、ニンニク、背脂が山盛りに乗った圧倒的なボリューム。
これらは注文時に調整ができるが、普通の人は少なめにしないと食べ切るのが大変だ。
麺は極太、スープは濃厚な味わいのとんこつ醤油ベースが基本で、具材と一緒に味わうと満足感の高い食体験が得られる。
また熱狂的なファン(ジロリアン)もいるほどの中毒性があり、ラーメンの枠を越えた唯一無二の存在だ。
3. 大勝軒系
「大勝軒系ラーメン」は、東京都豊島区東池袋にある「東池袋大勝軒」を発祥とするラーメンを指す。
創業者・山岸一雄氏考案の「元祖つけ麺(特製もりそば)」で知られ、のれん分けや弟子が開いた店舗を通じて「大勝軒」の名が全国に広まった。
スープは魚介と豚骨がベースの甘辛い味わいで、さっぱりとした後味が楽しめる。
麺は中太、具材にはチャーシュー、メンマ、ナルトなどで、オーソドックスなスタイルで提供される。
奇をてらわずに1杯ずつ丁寧に作り、誰が食べても美味しいと感じる上品でまっすぐなところが「大勝軒系」の魅力だ。
4. 麺屋武蔵系
「麺屋武蔵系ラーメン」は、東京都新宿区で創業した「麺屋武蔵」を総本山に構えるラーメンチェーン店を指す。
“武蔵”は剣豪・宮本武蔵(みやもとむさし)に由来し、ラーメン作りの上でもその精神・思想を大切にする。
海外を除くと店舗は都内のみ、様々なコラボや空間演出をはじめ、ラーメンの基本概念を変えたとされる斬新的なアイデアと高いクオリティが好評。
スープは豚骨・鶏ガラ、魚介を組み合わせたダブルスープで、近年はラーメンよりもつけ麺の方が人気を集める。
極太でコシが強い麺に、具材には大きなチャーシューや厚切りのメンマが使用され、見た目にもインパクトが感じられる。
個性を持たせたメニューを展開しており、各店舗で異なるオリジナルの1杯を楽しめるのも大きな特徴だ。
日本人の定番インスタントラーメン3選
「インスタントラーメン(即席ラーメン)」とは、簡単に調理できる即席麺の1種である。
基本的に乾燥した麺とかやく、スープの素がセットになっており、お湯を注ぐか鍋で煮るだけで、数分後には食べられる手軽さが特徴だ。
袋入りのタイプを袋麵、容器に入ったタイプをカップ麺(カップラーメン)と呼ぶ。
日本人にとって定番のインスタントラーメンを3つ紹介しよう。
どの地域でもコンビニやスーパーに行けば簡単に手に入るので、お土産選びに迷ったらお土産として購入するのもお勧め。
1. カップヌードル
「カップヌードル」は、日清食品株式会社が販売する世界初のカップ型インスタントラーメン。
1971年の発売当時、お湯を注ぐだけで手軽に食べられるスタイルは画期的で瞬く間に国民的商品となった。
味はオリジナル(醤油)をはじめ、シーフード・カレー・チリトマトの定番から、地域限定や期間限定の商品まで多彩に展開されている。
サイズは通常サイズ(75~77g程度)のほか、食べ応えのある”BIG”や小腹を満たすのに適した”ミニ”ら、ニーズに合わせたバリエーションが揃う。
2017年には、袋麵シリーズの「お椀で食べるカップヌードル」の販売も開始した。
2. サッポロ一番
「サッポロ一番」は、サンヨー食品株式会社が販売するインスタントラーメン。
1966年の発売以来、世代を超えて日本の家庭で広く愛されるロングセラー商品だ。
袋麺とカップ麺の両方が展開され、醬油・塩とんこつなど複数の味が揃う。
特に長年にわたって人気NO.1を獲得し続ける、袋麺の塩ラーメンとみそラーメンが有名で固定ファンも多い。
袋麺は1人前90g程度で、日本人の舌に慣れ親しんだスープと麺のバランスに優れた豊かな味わいを楽しめる。
家庭でも手軽に作れ、ひと手間加えてアレンジがしやすいのも「サッポロ一番」ならではの魅力だ。
3. 明星チャルメラ
「明星チャルメラ」は、明星食品株式会社が販売するインスタントラーメン。
袋麺・カップ麺の両方が展開され、チャルメラおじさんと猫のキャラクターがパッケージに描かれたデザインが印象に残る。
みそ・塩・とんこつなどの基本的な味が揃っているが、昔ながらの中華そばを思わせるしょうゆ味が特に人気。
袋麺は1人前80~90g程度で、発売以来変わらない美味しさを守り続ける。
最大の特徴は独自開発したホタテの隠し味。
つるみがある中細フライ麺にホタテだしを練り込み、スープにはホタテの旨みを加えて一体感が出るように工夫している。
フレーバーごとに「秘伝のスパイス」を用意し、味わいにアクセントをプラスできるのも魅力だ。
日本でラーメンを食べる前に知っておくべき5つのポイント
ラーメン屋には、レストランやカフェなどとは異なる独自のルール・文化がある。
これらを知っておかないと、お店・他のお客さんに迷惑をかけるだけでなく、こだわりの一杯を美味しい状態でいただくのも難しい。
基本的な5つのマナーおよび食べ方を紹介していくので、日本でラーメンを食べる時は内容を参考にしよう。
2種類あるラーメンの注文方法
ラーメンの注文方法は主に2つの方法に分かれる。
1つ目は店員へ直接頼む方法。
席に着いた時に自分が食べたいメニューを伝え、麺の硬さや味の濃さなどをカスタマイズできる場合は確認してくれる。
混雑時は他のお客さんの迷惑にならないよう、あらかじめ注文内容を決めておこう。
食べ終わった後に再び店員に声をかけて会計を済ませる。
2つ目は券売機を利用する方法。
一般的に入り口付近に設置されており、メニューからラーメンやトッピングを選び、ボタンを押して食券を購入後に店員に渡す。
お店によっては写真・多言語の記載があるが、使い方やどれを選べばよいのかわからない場合は店員に聞こう。
どちらも現金のみに対応しているケースが多いので気を付けてほしい。
1人1杯頼むのがマナー
お店にもよるが、ラーメン屋では1人1杯を頼むのがマナーになっている。
店側にとってコストに見合わない(迷惑な)行為になるのが大きな理由だ。
ラーメンは1杯ずつ丁寧に作られる料理であり、材料や調理時間がその都度かかる。
またラーメン屋はカウンター席が中心のお店が多く、限られたスペースで効率的に回転させなければならない。
1杯を複数人でのシェアは席を占有され、次のお客さんを案内するまでの時間が延びてしまう。
美味しい一杯を作るために込められた店主の思い・こだわりへのリスペクトが、ラーメン文化を楽しむ上で大切である。
ラーメン店で普及するサービス「替え玉」と「トッピング」
知っておくともっとラーメンを楽しめるのが、「替え玉」と「トッピング」の2つ。
「替え玉」とは、スープを残した状態で麺を追加で頼むラーメン用語だ。
やや食べ足りない時やスープを無駄にしたくない時にお勧め。
「トッピング」は、追加の具材を選んでカスタマイズできるサービスのこと。
チャーシュー、メンマ、ネギ、煮卵、海苔など、様々なものが用意されており、自分の好みに合わせた一杯を作れる。
また、お店によっては麵の硬さ(バリやわ・やわらかめ・普通・硬め・バリカタ)、味の濃さ(薄い・普通・濃い)、脂の多さ(少ない・普通・多い)を選べる。
初めて食べる訪日観光客は、こだわりがなければ普通を頼むと良いだろう。
麺を啜る文化も楽しむ
海外とは違い、日本には麺を啜る(すする)文化がある。
様々な観点から多くの理由・要因が挙げられているので、ここでは”味を楽しみ冷めないように食べられる”という説を紹介したい。
麺を啜るとスープと一緒に空気を取り込むので、風味が広がって豊かな味わいを最大限に引き出せる。
そして、麺が冷めやすくなるため、やけどを防ぎながら適度な温度で堪能できる。
日本のラーメンは麺とスープの調和を重視することから、この食べ方が理にかなうようだ。
日本では麺類を啜る音はマナー違反・失礼にならず、むしろ美味しさの表現と認識される。
違和感を覚えるかもしれないが、訪日観光客の方も積極的にチャレンジしてみよう。
お店のためにも美味しくいただくためにも長居しない
日本のラーメン屋では、食事を済ませたら速やかに席を立つことがマナーとされている。
ラーメン屋は提供が比較的早く、短時間で食事が完結するため、お店の効率や待っているお客さんへの配慮が主な理由だ。
またラーメンはアツアツの時が最も美味しく、ゆっくりと食べると冷めてしまい折角の一杯を堪能できない。
会話・長居はせずに、食べ終わった後はすぐにお店を出よう。
ラーメンに関するよくある質問
Q
日本ではいつからラーメンが食べられているの?
諸説あるため正確にはわかりませんが、明治時代から大正時代にかけて広まったとされています。
Q
日本三大ラーメンって何?
日本で特に有名な北海道の「札幌ラーメン」、福島県の「喜多方ラーメン」、福岡県の「博多ラーメン」のことです。
Q
ご当地ラーメンって何?
各地域の郷土食を使って作られる独自性のあるラーメンです。日本三大ラーメンをはじめ、全国には200種類前後のご当地ラーメンが存在すると言われています。
まとめ
この記事では日本ラーメンの歴史、お勧めのご当地ラーメン、ラーメン屋でのマナーを中心に紹介してきた。
ラーメンは手頃な価格で満足感が得られる料理であり、日常の中で”ほっとする瞬間”や”エネルギー補給”など様々な役割を持っている。
手軽でありながら奥深く、心も体も満たす日本の食文化で生活に欠かせない存在だ。
全国には地域と密接に関わる個性的で魅力的なラーメンが多いのも特徴。
これから日本に訪れる外国人の方はラーメン文化を楽しんでほしい。