【冬の高尾山の楽しみ方ガイド】静寂に包まれた山中で特別な体験を
標高599mの「高尾山」は、初心者でも気軽に登れる山として有名で、年間およそ300万人の登山者が訪れる。
東京都心からのアクセスに優れるだけでなく、豊かな自然や絶品グルメの数々など魅力は尽きない。
特に紅葉の季節だが、冬の高尾山も見どころが盛りだくさん。
ただし冬の登山だからこそ、気をつけなければならない点もある。
この記事では、冬に高尾山へ登る上で注意すべきポイントと冬の高尾山ならではの楽しみ方を紹介する。
内容を参考にすれば、きっと冬の高尾山ならではの特別な体験ができるだろう。
冬の高尾山の平均気温
高尾山のある八王子市の冬の平均気温と、高尾山の山頂の平均気温を以下の表にまとめた。
八王子市は東京都心よりも冷え込みが強く、高尾山の山頂の気温が0℃を下回ることもある。
そのため、防寒対策はしっかりしておこう。
冬の八王子の平均気温
- 12月の平均気温
- 5.9
- 1月の平均気温
- 3.4
- 2月の平均気温
- 4.5
参考:気象庁 八王子の平年値
冬の高尾山山頂の平均気温
- 12月の平均気温
- 2.3℃
- 1月の平均気温
- -0.2℃
- 2月の平均気温
- 0.9℃
冬の高尾山にお勧めの服装
厳しい冷え込みに対応できるよう、しっかり重ね着をしていこう。
その上で、インナーは保温性だけでなく、汗で身体を乾かさないように速乾性の高いものを選んでほしい。
具体的には以下のような服装がお勧めだ。
- 保温性と速乾性の高い厚手のインナー
- 中厚手のフリース
- 防風ジャケット
- 防水性と防寒性のある登山靴
- 手袋
冬の高尾山を登るために必要な持ち物は?
基本的にはどのシーズンも必要な持ち物は変わらないが、
休憩時に身体を冷やさないよう、リュックサックに入れられる、コンパクトなダウンジャケットも用意しておこう。
高尾山の登山に必要な持ち物と持ち物の選び方については、以下の記事を参考にしてほしい。
冬にお勧めしたい高尾山の登山コース
高尾山の主要な登山コースは8つあるが、その中でも冬にお勧めの1号路と5号路の見どころを紹介したい。
どちらも登山初心者向けで歩きやすいため、特別な装備や準備は必要ない。
1号路と5号路は、山頂の手前で繋がっているため、1度の登山で2つのコースどちらも楽しめる。
これから紹介する見どころを参考に、ぜひ1号路と5号路で冬の高尾山の魅力を満喫してほしい。
見どころもグルメも盛りだくさん!高尾山初心者にピッタリな1号路
1号路は、登山初心者や観光目的の方に適した高尾山のメインルートだ。
大部分の道が舗装されており、傾斜も比較的緩やかなので歩きやすい。
全長は3.8kmだがケーブルカーもしくはリフトを使えば、距離・時間の短縮が可能なため、体力に自信のない方も安心だ。
道中には見どころが盛りだくさんで、売店の豊富さ・綺麗なお手洗いの存在も嬉しいポイント。
冬特有の植物と自然美、参道が白く染まった幻想的な風景、澄み切ったクリアな絶景をはじめ、冬だからこそできる体験も多い。
初詣・厄除けを目的に髙尾山薬王院に訪れて、静かな境内で心を落ち着けるのもお勧め。
さらに、名物のとろろそば、お団子・天狗焼きなどバラエティーに富んだグルメも魅力のひとつ。
山頂やふもとの茶屋でいただく食事が美味しいのはもちろん、焼きたて・出来たてアツアツの一品が冷え切った身体を芯まで癒やしてくれる。
- 所要時間
- 上り:約1時間40分 / 下り:約1時間20分
- 全長
- 3.8km
- 難易度
- ★☆☆☆☆
冬限定の自然の芸術作品を見られる5号路
5号路は高尾山の山頂直下をぐるりと一周する、全長約900mの周回コース。
他のルートに比べて距離が短い上に、起伏が少なくて道幅も広いため、ファミリーでも安心して楽しめる。
1号路を含むほぼ全ルートと交差し、別コースとの接続地点にも利用される。
樹齢150年とも言われる「江川杉」をはじめ、たくさんの木々に囲まれた静寂な雰囲気が大きな魅力だ。
冬の5号路の見どころは、植物の茎にできる繊細な「シモバシラの氷の華」。
自然の芸術とも言える珍しい氷の結晶で、12月中旬~1月下旬、朝の限られた時間帯(8時~11時)のみに姿を現す。
詳細は後述するが、一つひとつの形状が違い、その瞬間にしか見られない神秘的な美しさに心を奪われるはずだ。
- 所要時間(周回)
- 約30分
- 全長
- 900m
- 難易度
- ★☆☆☆☆
冬ならではの高尾山の楽しみ方
冬の高尾山は他の季節と比べると登山客が少なく、静寂に包まれている。
凛とした澄み切った空気の中での山歩きはひと味違った良さを感じられる。
自然と向き合いながら心をリフレッシュするのにもピッタリだ。
ここからは、冬の高尾山ならではの具体的な楽しみ方を5つ紹介しよう。
澄んだ空気と静寂の中でトレッキングを楽しむ
冬の高尾山は一部の時期を除き、他のシーズンと比べて登山者が比較的少ない。
そのため、静寂の中で高尾山の豊かな自然を歩くことができる。
また、東京の中では厳しい寒さとなるが、その代わり空気が澄んでいるため、展望台からの眺めは他のシーズンに比べても美しい。
山頂の展望台から美しい富士山を眺める
先述した通り、冬は空気が澄んでいるからこそ、展望台からの景色も美しい。
特に山頂からは、冠雪した富士山を他の季節よりもさらに美しく、より間近に見られる。
枯れ落ちている木々が多いことも、展望台からの眺めが良い理由だ
ダイヤモンド富士を観賞する
「ダイヤモンド富士」とは、富士山の頂上に太陽が重なる瞬間に見られる美しい現象である。
富士山の火口に吸い込まれるように沈んでいく夕陽は、人々の心に深く刻まれる感動的な光景を生み出す。
見られる時期は限られており、毎年12月16日から26日の日没後の16時~16時15分に見頃を迎える。
観賞ポイントは、山頂ともみじ台(山頂より徒歩5分)だ。
実際に観賞できるかは当日の天候に左右されるが、早めに行ってゆっくりと「ダイヤモンド富士」を眺めよう。
なお、この期間はケーブルカーの運転も18時まで延長運転している。
自然の芸術作品・シモバシラの氷の華を観賞する
「シモバシラの氷の華」とは、植物の茎に形成される氷の結晶を指す。
根から吸い上げられた水分が茎の表面に染み出し、外気に触れて凍ることで作られる。
冬の寒い朝に見られる珍しい自然現象であり、主に多年草のシモバシラで観賞できる。
氷が植物の茎から繊細に広がり、花びらやリボンのような独特な形状を作り出す様子は、まるで自然の芸術作品のようで美しい。
その形・模様はひとつとして同じものがなく、偶然が生む唯一無二の姿が多くの人々を魅了する。
日が昇って気温が上がると溶けてしまうため、観賞は朝の時間帯(8時~11時)に限られる。
自然の神秘と生命の力強さ、儚さを感じられるのも魅力だ。
高尾山はシモバシラの名所であり、12月中旬から1月下旬にかけて観賞のベストシーズンを迎える。
高尾山の麓にある「高尾599ミュージアム」の周辺・5号路・もみじ台北側の巻き道が、「シモバシラの氷の華」を見られる代表的なスポットだ。
冷えた身体が温まるグルメを堪能する
上述のように冬の高尾山は平均気温が10℃を下回る日が多く、山頂付近は氷点下になることも珍しくない。
特に朝晩は冷え込みが激しいため、登山で温まった身体もすぐに寒さに襲われるだろう。
そんな時に食べる温かいグルメは、普段よりも一層美味しく感じられる。
特に高尾山グルメの代表格である、温かい「とろろ蕎麦」はお勧め。
山麓だけでなく1号路の道中や山頂など、食べられる機会も多い。
その他にも、目の前の炭火で焼き上げ、アツアツで提供される「焼き団子」や、高尾山ケーブルカー「高尾山駅」併設の「高尾山スミカ」で味わえる、焼き立ての「天狗焼」も食べておきたいグルメだ。
登山後の冷えた身体を温泉で温める
登山後の冷え切った身体を温泉で温める至福の体験ができるのも、冬の高尾山ならでは。
高尾山へのアクセス駅である京王線「高尾山口駅」の隣には、日帰り温泉施設「京王高尾山温泉 / 極楽湯」がある。
高尾山の豊かな自然に包まれた絶好のロケーションで、マイクロバブルの「檜風呂」や「サウナ」をはじめ、多彩な湯船がスタンバイ。
なかでも、地下約1,000mから湧く天然温泉が、美しい眺望とともに楽しめる「天然温泉 露天岩風呂(ぬる湯・あつ湯)」は、柔らかい湯ざわりで、美肌効果も期待大。
登山後は「京王高尾山温泉 / 極楽湯」へ、ぜひ足を運んでほしい。
新年にふさわしい体験を!冬の高尾山で開催される伝統行事に参加してみよう
スケジュールが合えば、大晦日から元旦にかけて行われる、髙尾山薬王院のイベントにも参加してほしい。
元日0時より護摩焚きが始まり、参拝者はお焚き上げの炎に包まれる空間で心身を清め、厄除けを受けられる。
厳かな雰囲気が漂う中で僧侶の読経や山伏のほら貝を通じて、参列者の無病息災など1年間の安全を祈願し新年を祝う。
また、初日の出(6時30分頃)に合わせて、髙尾山薬王院では伝統行事「迎光祭(げいこうさい)」が行われる。
晴天に恵まれれば、標高599mの山頂から、初日の出が富士山・関東平野を染める、壮大な景色を見られる。
高尾山の自然と神秘的な雰囲気に包まれながら、1年の始まりにふさわしい体験をしてみよう。
12月31日から1月1日にかけてはケーブルカーが終夜運行されるので、夜間でも安全にアクセスが可能。※年末年始は早朝から運行
ただし非常に混み合うため、余裕を持って移動するのがお勧めだ。
冬の高尾山に関するよくある質問
Q
冬の高尾山の気温は?
平均気温は5℃前後ですが、山頂付近は氷点下近くまで下がります。厳しい寒さに対応できるようにしっかりと防寒対策をしましょう。
Q
冬の高尾山ならではの楽しみ方はある?
「ダイヤモンド富士」・「シモバシラの氷の華」といった自然が生み出す絶景の観賞、温かい絶品グルメを堪能するのがお勧めです。
まとめ
冬に登山する上で注意すべきポイントと、冬の高尾山の見どころを紹介してきた。
他の季節よりも登山客が少なく、空気が澄んでいるので、日々の喧騒を忘れてリフレッシュするのに、冬の高尾山はピッタリだ。
記事を参考に、冬ならではの自然の絶景・温かいグルメ・薬王院への参詣など、様々な体験を楽しんでほしい。
高尾山を120%楽しむために、知っておきたい8コースの詳細やグルメスポットなどを網羅的にまとめた、こちらの記事も一緒に読んで登山を満喫しよう。