忍者発祥の地 伊賀での特別なひと時を楽しむ

忍者発祥の地 伊賀での特別なひと時を楽しむ

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筆者 : 弓削 貴久

本物の忍者が、今もなお存在している忍者の里、伊賀上野とは

三重県西部、伊賀と呼ばれる地域の中心に位置するのが伊賀上野の町。
この地域は最も有名な忍者の一人「服部半蔵」をはじめ、多くの忍者を輩出した「忍者の里」として知られています。その理由は、かつての日本の首都であった京都に近く、周囲を山岳に囲まれた独特の立地。山地の多い日本での戦において、山岳を素早く移動する伊賀の人びとは、伝令や諜報・破壊工作の役割を担う者、つまり「忍者」として重宝されました。
室町時代から江戸時代にかけて、歴史を影から支えてきた忍者たち。この地では、今もその技と心を受け継いでいます。伊賀はまた、良い土と良い水が育む、農耕・畜産の地でもあります。
豊かな自然と歴史が紡ぐこの地域へ、あたたかな人びとと日本の伝統文化、そして「忍者の真実」を探る旅に出かけてみませんか?

自然豊かで長閑な伊賀。忍者はこの地を拠点としていた
自然豊かで長閑な伊賀。忍者はこの地を拠点としていた

忍者発祥の地 伊賀を楽しむスポット3選

1. 日本最大級の史料数を誇る、「伊賀流忍者博物館」で忍者の真実に迫る

江戸時代の築城の名手、藤堂高虎。高虎は多くの忍者を手下に置いていたといわれています。その高虎の居城、伊賀上野城のすぐ脇にある「伊賀流忍者博物館」は、世界一の忍者史料を有する博物館で、忍者ルーツを探る文献や、実際に忍者が使用していた道具が展示されています。また、博物館脇には江戸時代末期の土豪屋敷を移築して建てられた「忍者屋敷」も見学可能。この屋敷には、忍者の住まいに凝らされたカラクリが随所に施されています。

忍者が活躍した時代の雰囲気を今に残す博物館
忍者が活躍した時代の雰囲気を今に残す博物館
忍者装束のスタッフが忍者屋敷のカラクリを実演
忍者装束のスタッフが忍者屋敷のカラクリを実演

2. 「伊賀忍者特殊軍団 阿修羅」に学ぶ、実践的忍者修行

忍者の武器や道具「忍具」の手解きをしてくれるのは、「伊賀忍者特殊軍団 阿修羅」。日本が誇る忍者の歴史と文化を世界に広めるために活躍している団体です。頭領 浮田半蔵氏は、日本刀の扱いはもちろん、多彩な忍具の扱いに習熟したプロフェッショナル。彼は、単なるショーではない、史実に忠実な実践的忍道を今に継承・伝播する現代の忍者であり、その技術と知識は、忍者の登場する映画やドラマCMの数々への出演・協力という形でも発揮されています。

浮田半蔵氏による、真剣を用いた居合い抜き
浮田半蔵氏による、真剣を用いた居合い抜き
忍者タートルズでも登場する釵(さい)など多彩な武器の実演が見られる
忍者タートルズでも登場する釵(さい)など多彩な武器の実演が見られる

3. 武神館の古武術を修めた現代の忍者が伝える、本当の忍者の暮らし

伊賀忍者の暮らしを今に伝える産土(うぶすな)道場。道場主の三橋源一氏は、伊賀忍者と関わりの深い古武術「戸隠流忍法体術」を修めた大師範であり、三重大学の「忍者・忍術学」の博士号も取得した人物。
三橋氏の住居も兼ねた道場で、忍者が築き上げた「総合生活術」であり「総合生存術技術」でもある忍術を学びます。また、道場周辺には田畑や、かつて山城が置かれていた山林があり、これらを舞台とした農業体験、忍術修行など総合的な体験プログラムを展開しています。

忍者の身のこなしを理論・実践の両面から伝授
忍者の身のこなしを理論・実践の両面から伝授
山城を舞台に忍者の技術を駆使してミッションに挑戦
山城を舞台に忍者の技術を駆使してミッションに挑戦

基本情報

日本語名称
産土道場
郵便番号
518-1323
住所
三重県伊賀市石川666番地の4
電話
0595-51-0513
定休日
お問い合わせください
時間
10:00〜16:00
料金
お問い合わせください
アクセス
伊賀鉄道「上野市」駅より徒歩20分
公式サイト
公式サイト

伊賀の豊かな自然が育む食や文化を楽しむスポット2選

1. 伊賀の米と水を活かした、この地域でしか生まれ得ない酒づくり「森喜酒造」

明治26年(1893)に創業した、老舗酒造。伊賀の水と米を生かした酒造りを行う、小規模ながらも実直な酒造を行う酒蔵です。
1998年から醸造用アルコールを添加しない、米と麹、水飲みを使用した純米酒造りを続けており、その味わいは、国内外から高く評価されています。特に本酒蔵の初代女性杜氏である森喜るみ子さんの醸した酒「るみ子の酒」や「妙の華 Challenge 90」は、この蔵元を代表する日本酒となっています。酒造の入り口でお酒の試飲や購入ができますし、運がよければ、発酵が進むタンクの中や、杜氏たちが酒を仕込む様子など、普段なかなか目にすることができない、酒造りの現場を見ることができるかも知れません。

酒米を蒸す大釜や醸造タンクが並ぶ蔵の中には、ほんのりと麹の香りが漂う
酒米を蒸す大釜や醸造タンクが並ぶ蔵の中には、ほんのりと麹の香りが漂う
蔵元を代表する日本酒の数々を利酒しながらすることも可能
蔵元を代表する日本酒の数々を利酒しながらすることも可能

基本情報

日本語名称
森喜酒造
郵便番号
518-0002
住所
三重県伊賀市千歳41番地の2
定休日
日曜
時間
9:00~12:00、14:00~18:00
アクセス
JR関西本線「佐那具」駅下車 徒歩約15分
クレジットカード
公式サイト
公式サイト

2. 古琵琶湖が生んだ伝統工芸品“伊賀焼き”の名窯「長谷園」

創業天保3年(1832)、伊賀焼窯元である「長谷園」。約300万〜600万年前に、伊賀の地は琵琶湖の湖底にあり、その古琵琶湖の土を使用して、さまざまな焼き物を手掛けています。
敷地内にある、長大な旧登り窯は国の登録有形文化財にも指定。この窯元では、伝統的な焼き物だけでなく、「作り手は真の使い手であれ」の理念のもと、新たな焼き物を生み出す試行錯誤が日々重ねられています。こうした取り組みが結実し、3年の開発期間を経て生み出された「土鍋」が近年高い人気を博しています。この土鍋は蓄熱・保温性が高く、お米をふっくらと甘く美味しく炊き上げることが可能。また炊飯以外にも、さまざまな料理に使用することができます。
敷地内の見学やショップでのお買い物、豊かな自然と伝統工芸が融合する伊賀焼の里を代表する窯元をぜひ訪れてみてはいかがでしょう。

古代の琵琶湖の土は焼くことで多孔質の焼き物に変わり高い蓄熱・保温性を発揮する
古代の琵琶湖の土は焼くことで多孔質の焼き物に変わり高い蓄熱・保温性を発揮する
傾斜を利用していくつもの窯を重ねた登り窯の説明を行う長谷園の長谷圭未さん
傾斜を利用していくつもの窯を重ねた登り窯の説明を行う長谷園の長谷圭未さん

基本情報

日本語名称
長谷園
郵便番号
518-1325
住所
三重県伊賀市丸柱569
電話
0595-44-1511
定休日
不定休
時間
10:00〜17:00
アクセス
伊賀鉄道「上野市」駅より車で約20分
クレジットカード
公式サイト
公式サイト(日本語)

まだある! 伊賀の魅力を知るスポット

日本三大組紐のひとつ、伊賀組紐のアクセサリー作り

着物の帯締めや帯留めなど、日本の和装に欠かせない伝統工芸である組紐。伊賀組紐は、日本三代組紐の一つに数えられています。
松島組紐は、1932年に伊賀市で開業した組紐店で、瑞宝単光章を受賞した伝統工芸士 松島文代さんをはじめ、技術に優れた工芸士が数多くの作品を生み出し続けています。「くみひも studio 荒木」では、3代目の伝統工芸士、松島俊策氏と、奥さまのひろ美さんの手解きによる、組紐造り体験に参加することができます。

体験では最も伝統的な手法での組紐作りに挑戦できる
体験では最も伝統的な手法での組紐作りに挑戦できる

基本情報

日本語名称
松島組紐店(くみひも studio 荒木)
郵便番号
518-0818
住所
伊賀市荒木 160 番地
電話
090-5879-8002
定休日
お問い合わせください
時間
9:00〜18:00
料金
お問い合わせください
アクセス
伊賀鉄道「上野市」駅より車で約15分
クレジットカード
お問い合わせください
公式サイト
公式サイト

戦国時代から続く屋敷を改装したホテルに滞在

「NIPPONIA Iga-ueno Private villa [ NOZAKI ]」は、数多くの忍者を召し抱えたとされる伊賀の藤堂藩。藩を支えた重臣が住み暮らした邸宅を改装して利用しているホテルです。
匠が腕を振るった江戸時代の建具が、池泉回遊式庭園の名庭を眺める客室のほか、蔵を活用したサウナなど充実した設備も魅力です。

戦国時代から続く下屋敷の風情と現代の感性が融合した客室
戦国時代から続く下屋敷の風情と現代の感性が融合した客室

基本情報

日本語名称
NIPPONIA HOTEL 伊賀上野 城下町
郵便番号
518-0859
住所
三重県伊賀市上野相生町2842
電話
0120-210-289
チェックイン
15:00〜20:00
チェックアウト
12:00
宿泊料金
税・サービス料込180,780円〜
アクセス
伊賀鉄道「上野市」駅より車で約10分
クレジットカード
公式サイト
公式サイト

まぼろしの和牛「伊賀牛」をすき焼きで堪能

松坂牛と並び立つ三重のブランド和牛「伊賀牛」。
伊賀上野の「元祖伊賀牛 金谷」は、明治28年(1895)から続く伊賀牛を知り尽くした老舗です。契約農家とともに、伊賀牛を追求する精肉店であり、肉に精通した料理人が揃う料理店でもあります。
伊賀牛本来の肉の旨み、あっさりとした脂の甘みは、すき焼きという最小限の調味料と、絶妙な火加減を必要とする調理によって花開きます。

関西風のすき焼きは、仲居さんが目の前で調理してくれる
関西風のすき焼きは、仲居さんが目の前で調理してくれる

基本情報

日本語名称
元祖伊賀牛 金谷
郵便番号
513-0831
住所
三重県伊賀市上野農人町434
電話
0595-21-0105
定休日
月曜(祝日の場合は翌日休)
営業時間
ランチ:11:00~(L.O.13:30)ディナー:16:00~20:00(L.O.18:30)
予算
8,000円〜10,000円
アクセス
伊賀鉄道「上野市」駅より車で徒歩15分
クレジットカード
公式サイト
公式サイト(日本語)

日本の農村の、持続可能な未来を探る「カフェ365nichi」

豊かな伊賀の里山の麓で、地産地消の食材による食事やスイーツを提供する「カフェ365nichi」。
店舗の目の前の田畑で採れる野菜をふんだんに使用したメニューが堪能できるほか、同店では大学などの研究機関と連携し、里山文化を守りまた、未来に向けて継承してゆくためのさまざまな取り組みを実施。収穫体験や林業への就業者に向けた講習なども手がける、情報発信拠点となっています。

店舗の建築は、100年以上前の農家の住まいを改装したもの
店舗の建築は、100年以上前の農家の住まいを改装したもの

基本情報

日本語名称
古民家カフェ365nichi
郵便番号
518-1426
住所
三重県伊賀市広瀬992番地
電話
0595-51-7358
定休日
無休
営業時間
ランチ・カフェ:11:00~16:00 (L.O.15:30) カフェバー(火・金・土・日 限定) : 18:00~22:00 (L.O.21:30)
予算
3,000円〜
アクセス
伊賀鉄道「上野市」駅より車で25分
クレジットカード
公式サイト
公式サイト

歴史の真実と本当の日本の姿に出会う旅へ

創作の物語で語られる、華やかなヒーローとしての忍者。
しかし本当の忍者は、厳しくも優しい自然と共存し、大地に根差しつつ、強かに乱世を生き抜いた現実の人びとなのです。その姿は、フィクションよりも美しく、またはるかにたくましいもの。長い歴史の中で築き上げてきた彼らのその知恵と精神には時代を超え、私たちの暮らしや生き方を支える力となるものもあるのです。

彼らが暮らした忍者の里へ、そして彼らを優しく包み、人びとの暮らしに恵みを与え続けてきた自然の中へ出かけてみませんか?
伊賀の文化や伝統的な食品に触れ、忍者たちが過ごした街に身を置く体験はきっと、今を生きる私たちにつながる歴史の一部としての忍者を、実感として感じさせてくれることでしょう。

実は、今回ご紹介した伊賀市のスポットをさらに上質に楽しむための特別なツアー限定プランがあります。
本当の忍者との出会い、豊かなテロワール、伝統や地域文化の学び、あなたの価値観をアップデートできる体験が詰まっています。

弓削 貴久

筆者

地球の歩き方総合研究所 事務局長

弓削 貴久

これまで世界30カ国以上を旅し、旅とお酒に温泉が大好き。