白銀の世界に生きる鳥たちと出会う!冬の東北海道でバードウォッチングを満喫

白銀の世界に生きる鳥たちと出会う!冬の東北海道でバードウォッチングを満喫

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筆者 : GOOD LUCK TRIP

屈指の自然環境を誇る「東北海道」には、冬にしか出会えない魅力的な鳥たちが生息している。
冬ならでは、東北海道ならではの鳥たちと出会いたい、東北海道のバードウォッチングを満喫したいという方のため、知っておきたい情報を紹介していこう。

東北海道ってどんなところ?

北海道の半分近くの面積を占める東北海道、道東(どうとう)と呼ばれる地域。
厳冬期に流氷が接岸するオホーツク海側と、雪が比較的少なく晴れの日が多い釧路や十勝側などの太平洋側では気候も異なり、一口に冬の東北海道といってもさまざまな顔がある。
エリア内には世界自然遺産登録地域を含む「知床国立公園」、日本で2番目に大きい「阿寒摩周国立公園」など、4つの国立公園と2つの国定公園があり、北海道内でも屈指の自然環境を誇る。

2月のオホーツク海を埋め尽くす流氷とその奥に佇む知床半島
2月のオホーツク海を埋め尽くす流氷とその奥に佇む知床半島

東北海道へのアクセス

野鳥観察のスポットを巡るなら、エリア内の「女満別空港」「中標津空港」「釧路空港」を活用し、飛行機での移動をメインとする計画を立てよう。
3空港とも、東京の「羽田空港」や札幌の「新千歳空港」からの直行便がある。

網走の空の玄関口・女満別空港
網走の空の玄関口・女満別空港

東北海道内の交通手段

レンタカーがあると便利だが雪道の運転に慣れていない場合は、「ひがし北海道エクスプレスバス」などの周遊バスや、JRなどの公共交通機関を使うのがお勧め。
ただし、便数は多くないので、日数に余裕を持つ必要がある。
バードウォッチングスポットを複数周りたい場合は、ガイドツアーを頼むのがお勧めだ。

雪道の運転に慣れていない場合は危険性が高いため、公共交通機関を利用しよう
雪道の運転に慣れていない場合は危険性が高いため、公共交通機関を利用しよう

東北海道の冬のバードウォッチングのシーズンはいつからいつまで?

11月の上旬から雪がちらつきはじめる東北海道。
降った雪が解けずに、本格的な白銀のシーズンに突入するのは12月ごろからで、3月ごろから少しずつ雪解けが始まる。
雪や氷に閉ざされる冬は、そこに住む生きものたちにとっても厳しい季節。
東北海道で冬を過ごす野鳥たちは、時期や餌、その年の気象条件によって過ごす環境を変え、移動を繰り返すものも多い。

雪上で休むオオハクチョウ(1月)
雪上で休むオオハクチョウ(1月)

シーズンによって見られる鳥の種類・スポットが異なる

同じ冬でも時期によって、訪れる鳥の種類と訪れる場所は異なる。
冬を大きく分けると、11月~12月の初冬期、1月~2月の厳冬期、3月以降の晩冬期の3シーズン。
それぞれのシーズンごとに見られる鳥やスポットの特徴を押さえておこう。

初冬期の小清水町で出会える憧れのワシやフクロウたち

東北海道で冬を過ごす渡り鳥たちは、極東ロシアで繁殖し、北海道の北端「稚内」を経由してオホーツク海沿いに南下する、もしくはカムチャッカ半島などから千島列島沿いに南下するものが多く、その後、越冬地に分散して過ごす。
例えば、日本で見られる最大級の猛禽類であるオオワシは、オホーツク海に面したエリアの東端に近い「小清水町」に11月ごろになると続々と現れる。
オオワシは、秋の産卵のために遡上する鮭の死骸が豊富な河川沿いの木に集まる姿が見られる。
河川が凍る厳冬期になると、氷に穴をあけて行う氷下漁が盛んな湖におこぼれを期待して移動するものも多い。

河川沿いの木に集まるオオワシ
河川沿いの木に集まるオオワシ

東北海道に点在する湿地草原(河岸・湖岸などの湿地に発達する草原)では、フクロウの仲間であるコミミズクの他、ケアシノスリ、ハイイロチュウヒなど希少な猛禽類が見られる。
初冬のオホーツク海側の草原(小清水原生花園)に現れる、フクロウの仲間・コミミズク。
雪が多くなる1月以降には、雪の少ない太平洋側へ移動する。
年によって飛来する数が大きく変わるので、ほとんど見られない年もある。

小清水原生花園で見られるコミミズク
小清水原生花園で見られるコミミズク

初冬期と晩冬期なら出会いやすい?神出鬼没の小鳥たち

ベニヒワやユキホオジロなど、冬ならではの小鳥たちも機会があったら会ってみたい鳥たちだ。
初冬期と晩冬期は群れが大きくなり、分散する厳冬期より見つけやすい場合がある。
また、これらの渡り鳥たちは、年によって数にばらつきが多く、特にちょこんと赤い頭頂部が特徴のベニヒワの大群が見られるのは数年に一度である。
そして、まとまった姿が見られる当たり年でも、好物のヨモギやマツヨイグサなど、草の種子を求めて移動することが多く見つけるのが難しい。

見つけるのが難しいベニヒワ
見つけるのが難しいベニヒワ
風が強い海岸で冬をたくましく生き抜くユキホオジロ
風が強い海岸で冬をたくましく生き抜くユキホオジロ
積雪が少ない沿岸の岩場や崖地で遭遇することが多いハギマシコ
積雪が少ない沿岸の岩場や崖地で遭遇することが多いハギマシコ
でっぷりとした体形で、実のなる木が大好きなキレンジャク
でっぷりとした体形で、実のなる木が大好きなキレンジャク
雪の中ではより一層白さが際立つ人気のシマエナガ
雪の中ではより一層白さが際立つ人気のシマエナガ

厳冬期にこそ会いたい個性的な海の鳥たち

春から始まる繁殖期に向けて、厳冬期から晩冬期にかけてオスのカモたちは、求愛シーズン真っ只中である。冬ならではの美しい姿が特徴だ。
主に冬の北海道など北国でしか見られない種もいるので、主な観察スポットである海岸や港湾にも機会があったら足を運びたい。

全体的に紺色で白やえんじ色で彩られた複雑な模様が美しいオスのシノリガモ
全体的に紺色で白やえんじ色で彩られた複雑な模様が美しいオスのシノリガモ
オスは白と黒のツートンカラーで尾羽がピンと長いコオリガモ
オスは白と黒のツートンカラーで尾羽がピンと長いコオリガモ
オスは名前のとおり全身が真っ黒なクロガモ
オスは名前のとおり全身が真っ黒なクロガモ

晩冬期から初春なら活発な鳥たちと出会える

日中プラス気温になる日が増え、湖沼の氷が少しずつ解けはじめると、鳥たちの活動は一気に活発になる。
本州で冬を過ごし、ロシアなどの繁殖地に向けて北上する渡り鳥たちが中継地である東北海道に戻ってくる頃になると春も近い。

3月~4月にかけて見られる国の天然記念物のヒシクイ(左3羽)とマガン(右)
3月~4月にかけて見られる国の天然記念物のヒシクイ(左3羽)とマガン(右)
氷が溶け始めた湖の氷上でくつろぐカモの仲間・ミコアイサ
氷が溶け始めた湖の氷上でくつろぐカモの仲間・ミコアイサ
ツグミの仲間のハチジョウツグミなど、道路わきに思わぬ鳥がいることも
ツグミの仲間のハチジョウツグミなど、道路わきに思わぬ鳥がいることも

冬の東北海道でバードウォッチングを楽しむ2泊3日モデルプラン

魅力的なスポットが広範囲に点在する東北海道。
スポットからスポットへの移動は、車で2~3時間ぐらいを想定した方がよい。
冬期は天候に左右されやすいので、日程に余裕を持つとお目当ての鳥たちに出会える確率が高くなる。

Day1
女満別空港へ到着・午後は野鳥観察
Day2
野付半島で小鳥や海鳥を探してみよう。
日数に余裕があれば、近隣の根室エリアや浜中エリアに足を延ばすのがお勧めだ。
Day3
鶴居村でタンチョウを見よう・釧路空港から出発
スノーシューを使って森の中でバードウォッチングするのも冬の楽しみのひとつ
スノーシューを使って森の中でバードウォッチングするのも冬の楽しみのひとつ
野付半島の自然情報を入手するなら立ち寄りたい野付半島ネイチャーセンター
野付半島の自然情報を入手するなら立ち寄りたい野付半島ネイチャーセンター
2月ごろからは求愛ダンスが見られるタンチョウ(鶴居村・伊藤サンクチュアリ)
2月ごろからは求愛ダンスが見られるタンチョウ(鶴居村・伊藤サンクチュアリ)

冬の東北海道でバードウォッチングを満喫したいならガイドツアーがお勧め!

公共交通手段が限られるため、複数のスポットを周遊したい場合は「小清水町観光協会ビジターセンター」のガイドツアーがお勧め。
英語対応が可能なガイドツアーもあるため、日本語でコミュニケーションが取れなくても安心だ。
また、時期に合わせて野鳥観察に最適な場所を組み合わせて案内してくれるので、お目当ての野鳥に出会う確率がグンと上がるはずだ。

野鳥観察ツアーやガイドなら小清水町観光協会ビジターセンターへ
野鳥観察ツアーやガイドなら小清水町観光協会ビジターセンターへ
日本語名称
小清水町観光協会ビジターセンター
郵便番号
099-3452
住所
北海道斜里郡小清水町浜小清水474‐7
電話
0152-67-5120
定休日
年末年始
時間
9:00〜17:00
料金
無料
アクセス
1)JR釧路本線「浜小清水」駅から徒歩1分
2)女満別空港から車で約45分
公式サイト
公式サイト

まとめ

東北海道で見られる鳥たちや、冬の東北海道でバードウォッチングを満喫するためのモデルプランを紹介してきた。
冬の鳥は、ある程度決まった場所で越冬するタンチョウなどを除いて「どこに行けば必ず会える」という保証はない。
その分、会いたかった鳥に運よく出会えたときや、予期しなかった出会いには感動ひとしおだ。