
地域の魅力をより深く掘り下げる旅の拠点となる「道の駅」
その地域ならではの体験がしたいなら「道の駅」を観光プランに取り入れてほしい。
地域活性化の拠点としての機能もある道の駅は、特産品を買ったり、ご当地グルメを味わったりするのが主な楽しみ方。その他にも、地域性を感じられる様々な楽しみ方が可能だ。
この記事では、道の駅の楽しみ方と全国各地のお勧めの道の駅を中心に紹介していく。
その地域ならではの体験ができる「道の駅」
道の駅とは、自動車道路沿いに位置する、様々な役割を持つ休憩所のこと。
道の駅は47都道府県全てにあり、その合計は1,230駅(2025年1月31日時点)。
道の駅には、以下3つの機能がある。
・24時間無料で利用できる駐車場やトイレなどの「休息機能」
・道路情報や観光情報などを提供する「情報発信機能」
・観光レクリエーション施設をはじめとする地域振興施設「地域連携機能」
簡単にまとめると、その土地の魅力を知り、楽しみつつ、休憩できるスポットということだ。
地域ごと、道の駅ごとに特色は異なり、訪れる道の駅によって異なる体験ができるのも魅力のひとつだ。
道の駅とサービスエリアの違いは?
道の駅と似ている施設「サービスエリア」との違いは、以下の通りだ。
・国道などの一般道にある休憩所=道の駅
・高速道路にある休憩所=サービスエリア
施設にもよるが、道の駅の方がより地域性を強く感じられる場合が多い。
地域の魅力を満喫しよう!道の駅で実践すべき楽しみ方
多様な機能を持つ道の駅を、どうやって日本人が楽しんでいるかを紹介しよう。
家族で1日中楽しめるほど、施設・サービスが充実している道の駅もある。
これから紹介する楽しみ方を参考に、道の駅をぜひ満喫してほしい。
1. 道の駅だから出会える特産品・お土産を購入
道の駅には、その土地で育った農産物や畜産物、海産物を購入できる直売所がある。
それだけでなく、地元の食材を加工した調味料やお菓子など、お土産にピッタリなオリジナル商品を販売していることも多い。
その土地、その道の駅でしか購入できない特産品やお土産を購入するのは、道の駅の楽しみ方の中でも定番だ。

2. 珍しい食材やご当地グルメを堪能
レストランや食事処、カフェなど飲食施設がある道の駅も多い。
その地域で育った野菜や果物を使った料理、他ではあまり知られていない牛肉や豚肉などを使った逸品など、なかなか出会えない食材やご当地グルメを味わうのも定番の楽しみ方だ。
道の駅のグルメといえば、ソフトクリームをイメージする日本人は多い。
その土地の食材を使った、ユニークなソフトクリームを楽しみに訪れる日本人もいるほどだ。

3. 日帰り温泉や足湯で癒される
温泉地にある道の駅には、日帰り温泉施設や足湯が用意されていることも。
わざわざ温泉施設に足を運ばすとも、運転で疲れた身体を温泉で癒したり、歩き疲れた足を足湯で癒したりと、手軽にその土地の温泉を楽しめる。

4. その土地ならではの風景を楽しむ
都市部から比較的離れた場所にある道の駅だからこそ、その土地ならではの風景を見られる。
素朴な風景を楽しめる道の駅がほとんどだが、なかには日本の絶景を満喫できる道の駅もある。
例えば、山梨の「道の駅富士吉田」では、正面に聳え立つ富士山。
兵庫の「道の駅 あわじ」では、明石海峡大橋と明石海峡が織りなす絶景。
「日本夕陽百選」に選ばれた岐久海岸に沈む夕陽を見られる、島根の「道の駅キララ多岐」は絶景を見られる道の駅として有名だ。
-
道の駅富士吉田から望む富士山
-
道の駅 あわじで見られる明石海峡大橋と明石海峡の絶景
-
道の駅キララ多岐から望む美しい夕陽(※写真はイメージです。)
5. 地域の特性を活かしたレジャーを楽しむ
様々なレジャーを楽しめる道の駅なら、子供と一緒でも1日中遊べるはずだ。
年間を通してフルーツ狩りを楽しめる山形の「道の駅 寒河江 チェリーランド」や、隣接する海でSUPを体験できる鹿児島の「道の駅たるみずはまびら」、テーマパークで遊べる兵庫の「道の駅 神戸フルーツフラワーパーク大沢」など、その内容は道の駅によって様々だ。
-
フルーツ狩りも楽しめる道の駅 寒河江 チェリーランド
-
隣接する錦江湾でSUP体験ができる道の駅たるみずはまびら
-
道の駅とは思えない広さと設備を誇る道の駅 神戸フルーツフラワーパーク大沢
見どころも施設も充実!一度は訪れたい道の駅11選
日本全国に1,230駅(2025年1月31日時点)もある道の駅の中から、地方ごとにお勧めの道の駅を厳選してご紹介。
紹介する道の駅へ足を運び、その地域ならではの体験をしてみよう。
1. 【北海道】道の駅 南ふらの
人気観光地の札幌や旭川、帯広方面への中継点となる、北海道の南富良野町に位置する「道の駅 南ふらの」。
施設内の特産品販売コーナーでは、南富良野町の農産物を加工した「バタじゃが」や、町内の工場で製造したオリジナル商品「南ふらのチップス」などを購入できる。
同じ敷地内には、道の駅に隣接する複合施設と緑地公園もあり、特産品の購入以外にも様々な楽しみ方ができる。
複合施設には、北海道最大級の「モンベルストア」やクライミング体験ができる施設、地元の食材を使用する洋風レストラン、6店舗の飲食店が集まるフードコート。
緑地公園には、カヌー体験ができる親水エリアやボルダリングもできる遊具エリア、南富良野産の木材を使用したキッズスペースなどがある。
訪日外国人対応が可能な観光案内ブースもあり、幅広い世代・国・地域の人々を受け入れている。


2. 【岩手県】道の駅 遠野風の丘
豊かな自然と日本の原風景が残る、岩手県遠野市の観光拠点「道の駅 遠野風の丘」。
観光情報を提供する案内所はもちろん、地域の特産品を購入できる産直・物産ホールや遠野のソウルフードを味わえるフードホール、田園風景・清流・城下町を一望できる展望デッキなど、見どころ盛りだくさんの施設だ。
特にフードホールのメニューが充実しており、名物である遠野ジンギスカンや五右衛門ラーメンは、ぜひ一度食べてほしい。
展望テラスで景色を眺めながら、ジンギスカンを食べることも可能だ。

3. 【栃木】道の駅 もてぎ
栃木県の茂木町に位置する「道の駅 もてぎ」は、「茂木駅」から徒歩12分と公共交通機関でもアクセスしやすい道の駅だ。
茂木町の特産品やお土産を購入したり、地域の食材を使った様々なグルメを食べたりできるのはもちろんだが、特筆すべきは「真岡鐵道」を走るSLを間近で見られるスポットであること。その姿を写真へ収めに週末にはカメラマンが集まるほど。
敷地内にある「手打ちそば わっぱ飯 桔梗」なら、店内でSLを見ながら地元の食材で作られた「そば」や「わっぱ飯」を食べられる。
また、同じく敷地内の「十石河川公園」には、SLをモチーフにした遊具が置かれており、家族で1日中楽しめる道の駅だ。


4. 【岐阜】道の駅 古今伝授の里やまと
岐阜県郡上市の「郡上大和駅」から徒歩11分の場所にある「道の駅 古今伝授の里やまと」。
観光案内所や物産品販売店に加え、足湯(無料)、郷土料理店、レストラン、アイスクリーム・ヨーグルト工房など多彩な施設が集う道の駅だ。
野菜の直売所や温浴施設「やまと温泉 やすらぎ館」、ホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット・岐阜郡上」も近接しており1日中楽しめる。
道の駅で1番人気は「かにはさくら」で販売されている「鮎の塩焼き」。
遠火の炭火でじっくり焼きあげており、頭から骨まで丸ごと味わえる。



5. 【石川】いい道の駅のと千里浜
能登半島の「羽咋市」に位置する「いい道の駅のと千里浜」。
国内で唯一、砂浜を車で走れる道路「千里浜なぎさドライブウェイ」のすぐそばにある道の駅だ。
直売所では、自然栽培の農産物や能登で捕獲されたイノシシを使ったお肉だけでなく、地元の食材を加工したスイーツやお弁当・お惣菜、羽咋の工芸品などを購入できる。
能登の海と山の幸や羽咋の食材を使用したグルメを味わえるレストラン、ベーカリー、カフェなどの飲食施設も充実。
車旅の疲れを癒してくれる、無料の源泉掛け流しの足湯もある。
能登・羽咋の“いい”が詰まった道の駅へ、足を運んでみよう。



6. 【京都】道の駅 お茶の京都みなみやましろ村
京都にひとつしかない村「南山城村」に位置する道の駅。
山や川などに恵まれ、奈良・三重・滋賀と隣接する地域で育まれてきた、食文化を体験できる施設だ。
「宇治茶」の主産地である南山城村の特産品「村茶」を使った、オリジナル商品やグルメが最大の魅力。
「むらちゃプリン」や「むらちゃアイス」などのスイーツ、「茶そば」など、様々な抹茶グルメを味わってみよう。
また、施設内の「村風土食堂 つちのうぶ」では、ランチメニューだけでなくモーニングメニューもスタンバイ。
ほうじ茶を使用した茶粥御膳や和食セットなどを朝から食べられるのも嬉しい。
道の駅と隣接するホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット・京都みなみやましろ」に宿泊して、朝ごはんを道の駅で食べるといった楽しみ方もできる。



7. 【三重】道の駅 パーク七里御浜
七里御浜の海岸沿の浜街道は、世界遺産「熊野古道」のルートのひとつ。
その浜街道沿いにある「道の駅 パーク七里御浜」は、熊野古道を観光する人々の休憩所となっている。
特産品を購入できる直売コーナーやお土産コーナー、レストランはもちろん、コインランドリーやシャワー室もあり、車中泊が可能な珍しい道の駅だ。
施設の3階にあるレストラン「ごちそうダイニング by 辻さん家」では、七里御浜の素晴らしい景色を眺めながら、海の幸を存分に味わえる。
また、地域で獲れたみかんの果汁を使用した、果汁100%ジュースを提供する工場もある。

8. 【広島】道の駅 世羅
広島県の「世羅IC」からすぐ、世羅町に位置する道の駅。
「レストラン道の駅せら」では、脂と赤身のバランスが良い「世羅みのり牛」のビーフカレーや牛丼、甘みとあっさりした味が特徴の「世良高原豚」を使ったロースカツ定食、脂の甘みが特徴の世羅産六穀豚を使用した「せらの恵みバーガー」など、地元の食材を使った料理を楽しめる。
農産物の育成に適した条件で育った、世羅の新鮮な野菜を味わうのも忘れずに。
デザートには、みずみずしく甘い「せら梨」を使用した「せら梨ソフト」をいただこう。
世羅の食材を使ったバーベキューを、手ぶらで楽しめるのも魅力のひとつだ。


9. 【香川】道の駅 小豆島オリーブ公園
瀬戸内海に浮かぶ離島「小豆島」にある、地中海を思わせる景観と充実の施設で人気の道の駅。
瀬戸内海を見下ろす丘に佇む白い風車、約120種類のハーブやバラが咲き誇るイングリッシュガーデンなど、思わず撮りたくなるフォトスポットが多数存在している。
映画『魔女の宅急便』のロケ地となったため、ロケセットとして使われた建物がそのまま残り、ハンドメイドのアクセサリーや雑貨を扱うショップとして営業。
レストラン「サン・オリーブ」では地元産の肉を使った丼、オリーブオイルや果実を練りこんだラーメンやそうめんなど地産地消のメニューを味わえる。


10. 【福岡】道の駅 うきは
福岡と大分の県境、筑後平野を一望できる場所にある「道の駅 うきは」。
18世紀後半の筑後平野に多く建てられた農家住宅であり、国の重要文化財である「くど造り民家」をモチーフにした木造建築が特徴のひとつ。
「うきは」の新鮮な農作物が並ぶ「物産館西見台」、地元の食材を使ったソフトクリームや和紅茶、たこ焼きを食べられる「ぽち」、田園風景を眺めながら和食を楽しめる「お食事処 なかよしこよし」など、多彩な施設が集う。
隣接する観光交流施設「ウキハコ」では、うきは市の観光情報を発信するだけでなく、レンタサイクルも提供。


11. 【沖縄】道の駅 許田
沖縄県第1号店の「道の駅」で、本島北部に位置する。
「やんばる」の新鮮野菜・特産品を買えるほか、食事や軽食をとることもでき、ここでしか買えない独自の商品を求めて訪れる人もいるという。
施設内では、美ら海水族館などの県内観光施設の割引チケットの販売や、併設のレストランでは沖縄そばやタコス、ステーキなど沖縄グルメを提供しており、赤瓦をあしらった屋根が印象的な建物が沖縄らしさを感じさせてくれる。
沖縄の伝統工芸である「琉球ガラス」やシーサーなど、沖縄らしいお土産の購入も可能だ。

道の駅を観光拠点に地域の魅力を深掘りする新しい旅のスタイルを提案
ここまで紹介してきた道の駅の楽しみ方や、お勧めの道の駅の魅力を知れば、その道の駅を拠点に観光したいという方も多いだろう。
ただ、多くの道の駅には宿泊施設がなく、車中泊も基本的には禁止されている。
そんな観光客の悩みを解決するのが、「フェアフィールド・バイ・マリオット 道の駅プロジェクト」だ。
「未知なるニッポンをクエストしよう」をコンセプトに、全国14道府県・29ヶ所の道の駅に近接する形でホテルを展開。
快適なベッドとバスタブのないレインシャワータイプの浴室、無料の高速Wi-Fiというシンプルな環境で、館内にはレストランや大浴場はない。
だからこそ、近接している道の駅や周辺施設を活用する機会が増え、その土地・その場所ならではの体験ができる。
記事で紹介した以下の道の駅にも、「フェアフィールド・バイ・マリオット 道の駅プロジェクト」のホテルがあるため、ぜひ活用してほしい。
- 北海道
- 道の駅 南ふらの
- 栃木
- 道の駅 もてぎ
- 岐阜
- 道の駅 古今伝授の里やまと
- 京都
- 道の駅 お茶の京都みなみやましろ村
- 三重
- 道の駅 パーク七里御浜
- 広島
- 道の駅 世羅
- 福岡
- 道の駅 うきは
道の駅に関するよくある質問
Q
道の駅で車中泊できる?
休憩施設のため、車中泊は禁止されています。ただ、車中泊専用の設備と車中泊を許可している道の駅であれば可能です。
Q
東京にも道の駅はある?
東京都内にも道の駅はありますが、八王子の「道の駅 八王子滝山」の1つだけです。
まとめ
道の駅の楽しみ方と、全国各地のお勧めの道の駅を中心に紹介してきた。
道の駅を観光プランに取り入れれば、人気観光地や人気観光スポットではできない、よりローカルな体験ができるだろう。
定番の観光プランに飽きたら、道の駅を中心とした観光にチャレンジしてみてほしい。