
【高尾山の梅の楽しみ方ガイド】登山と観梅を120%満喫しよう!
ミシュランガイドで三つ星の観光地として認定され、世界トップクラスの登山者数を誇る「高尾山」。
紅葉の名所として知られているが、春には麓で美しい梅林を散策できることはあまり知られていない。
この記事では、高尾山の麓に点在する8つの梅林とその魅力を紹介する。
春に高尾山を訪れる予定がある方は、ぜひ登山と梅林の散策を楽しんでほしい。
高尾山で梅は見られるの?
高尾山にはブナやミズナラなどの広葉樹が多く、その自然環境から梅はほとんど見られない。
そのため、梅を楽しみたいなら、高尾山上ではなく麓に点在する梅林を散策するのがお勧めだ。
いずれも高尾山の玄関口となるJR・京王「高尾駅」や京王「高尾山口駅」から徒歩でアクセスできるため、登山前後に訪れてみよう。

1万本もの梅が咲き誇る「高尾梅郷」
高尾山麓、旧甲州街道と小仏川沿いには8つの梅林が点在し、この地帯を総称して「高尾梅郷(たかおばいごう)」と呼ぶ。
約4.5kmにわたって続く街道には、現在はおよそ1万本の梅が植えられており、例年2月中旬~3月中旬に見頃を迎えると、梅の花が盛大に咲き誇る。
各所で色鮮やかな風景とやさしい香りが訪れる人々を魅了し、春の訪れを感じさせる。
ここでは、高尾山口駅を起点に、駅から近い順に梅林を紹介しよう。
2時間ほどの散策で全ての梅林を巡れるため、高尾山の登山と併せて観梅ウォークを楽しむのもお勧めだ。
1. 遊歩道梅林
高尾山口駅から10分ほど歩くと、最初の梅林「遊歩道梅林」が見えてくる。
見頃を迎えると、遊歩道の両脇に赤白の梅の花が咲き誇り、美しい梅のトンネルの中を歩く体験ができる。
辺り一面には甘い梅の香りが漂い、なだらかな坂道を歩きながら、癒やしとともに春の訪れを全身で感じられるだろう。
土手に座り、梅を愛でながら小仏川の流れを眺め、のんびりと気分をリフレッシュするのもお勧め。
特に晴れた日の青空と梅のコントラストはフォトジェニックで、記念撮影にもピッタリだ。



2. 関所梅林
遊歩道梅林の途中で右折し住宅地を通って旧甲州街道に出ると、バス停「駒木野」の横にある「関所梅林」につながる。
「関所梅林」は江戸時代(1603年~1868年)に「小仏関所」があった跡地であり、高尾梅郷の中でも特に歴史を感じさせる趣深い梅林だ。
現在は公園として整備され、祭りやイベントの会場として使用されることも多い。
程よい広さの園内には、白梅・紅梅に加えて「サンシュユ」と呼ばれる黄色の花も咲き、一帯を華やかに彩る。
手入れの行き届いた木は比較的大きく、枝ぶりも見事なものが多いため、間近で梅を鑑賞できるのも魅力だ。
かつての面影を残す落ち着いた雰囲気を感じながら、ベンチに座ってゆっくり過ごすのもお勧め。



3. 荒井梅林
関所梅林より10分ほど歩き、やや急勾配の坂道を上がった先にあるのが「荒井梅林」だ。
最高地点から見下ろす梅林は壮観で、風に舞う花びらが幻想的な光景を演出する。
日差しを浴びて輝く梅の花は、まるで絵画のように美しく、遠くには天神梅林の姿も望める隠れた絶景スポットだ。
優雅な梅の香りも漂い、イソヒヨドリ・メジロといった春の訪れを告げる鳥たちのさえずりが心地よいBGMとなり、心穏やかな時間を過ごせる。
また、脇にはJR中央本線の線路が走っており、時折響きわたるガタン・ゴトンという走行音も「荒井梅林」ならではの魅力のひとつだ。



4. 天神梅林
遊歩道梅林を真っすぐ歩いていくと、姿を現すのが「天神梅林」。
緩やかな地形に沿って梅の木々が自然な形で広がり、一帯はフローラルな香りで包まれてリラックスできる。
太陽の光を浴びて輝く花びらや風にそよぐ枝の様子など、どの角度からも景観を楽しめるのも魅力だ。
また、斜面を登った先には、学問の神様で有名な菅原道真(すがわらのみちざね)が祀られている「高尾天満宮」の存在も忘れずに覚えておこう。
「天神梅林」の名前の由来にもなったとされる高台の境内からは、梅林を一望でき、風情ある景色を楽しめる。


5. 湯の花(いのはな)梅林
天神梅林に沿って進むと、高尾梅郷の中央部に位置する「高尾梅の郷まちの広場」という施設が現れる。
この施設は梅林のほかにも、誰でも使える無料トイレや休憩スペースがあるので立ち寄ってみるのもお勧め。
そこから旧甲州街道(蛇滝道)を2~3分歩くと、「湯の花梅林」が見えてくる。
この道は「蛇滝コース」で高尾山へと続いており、登山後に訪れる人や、観梅を楽しんだ後に登山へ向かう人も少なくない。
敷地内に多くの梅の木が植えられており、色鮮やかな風景が豊かな芳香とともに一面に広がる。
開花シーズンには、穏やかな癒しのひとときを提供してくれるが、開放期間が限られているため、訪れる際は事前に確認しておこう。


6. するさし梅林
湯の花梅林を過ぎると、すぐ近くに「するさし梅林」の入口が見えてくる。
ちなみに、高尾山口駅を起点に考えるならば西部の場所に位置する。
ここは「摺差(するさし)まちの広場」という広場で、例年3月初旬~3月中旬の観梅ウォーク期間のみ特別に開放されるスポットだ。
大きな広場内は歩きやすいように道が整備されており、散策しながら梅の花の香りや優美な姿を間近に楽しめる。
すぐそばにある、裏高尾の有名店「峰尾豆腐店」にも訪れてほしい。
高尾山系の良質な地下水を使用した木綿豆腐をはじめ、豊富なメニューが並び、軽い口当たりのおからドーナツは食べ歩きにも。



7. 木下沢梅林
するさし梅林を出るといよいよ、高尾梅郷の中で最も大きな「木下沢(こげさわ)梅林」につながる。
徒歩で20分~30分ほどの距離があるので、体力的に不安な場合はバスで向かうと良いだろう。
後述の峰尾豆腐店の前のバス停「摺差(するさし)」から乗車し、最寄りの「日影」もしくは「大下(おおしも)」で降りると近い。
通常は「木下沢梅林」の敷地は閉鎖しており、例年梅が見頃を迎える3月初旬~3月中旬のシーズンにのみ開放される。
上段・中段・下段の3つのエリアに約1,400本もの紅梅や白梅が植えられ、どの場所からでも梅の木々が織り成す絶景が広がるのが魅力だ。
梅林内にはトレッキングコースやベンチもあり、観梅を楽しみながら至福の時間を過ごせる。


8. 小仏梅林
8つ目の梅林の「小仏梅林」は、木下沢梅林の最寄りバス停「大下」から少し歩いた場所にある。
他の場所と比べると規模は小さく、道沿いに梅が並んでいるような光景が広がる。
その一方で、高尾梅郷の発祥の梅林と言われており、周囲の山々・自然と奏でる美しいハーモニーが魅力的。
一本一本異なる表情を見せる梅の木や、直接的に広がる立体的な景観は見ていて飽きない。
最後まで歩くとバス路線の終点「小仏」へ到着するため、疲れているならバスで駅まで帰ろう。

模擬店や地域の特産品も楽しめる「高尾梅郷梅まつり」
毎年3月初旬の土日に高尾山麓で開催される「高尾梅郷梅まつり」。
これまで紹介してきた8つの梅林が舞台となり、様々なイベントが開催される。
梅林や周辺の広場では、模擬店の出展や梅林を巡るスタンプハイクが行われ、梅の魅力を存分に味わえる工夫が随所に見られる。
また、賑やかな雰囲気の中でよさこい踊り・琴の演奏といったパフォーマンスもあり、地域の特産品・文化を楽しめるのも特徴のひとつ。
イベントの内容や会場は例年異なるため、詳細は公式ページを参考にしてほしい。



高尾山の登山と併せて梅林を楽しみたい方にお勧めのコース
登山と梅林どちらも楽しみたい方は、高尾山口駅からスタートして遊歩道梅林と湯の花梅林を散策し、湯の花梅林から高尾山の登山コース「蛇滝コース」に入る、以下のルートがお勧めだ。
- 9:00
- 高尾山口駅からスタート
- 9:30
- 遊歩道梅林
- 10:00
- 湯の花梅林
- 10:30
- 蛇滝コースから登山
- 11:00
- 2号路
- 11:40
- 1号路
- 12:20
- 高尾山山頂
- 13:00
- 1号路で下山
- 14:20
- 高尾山口駅に到着
ルートの所要時間は、歩くペースやどれだけ休憩するかにもよるが、約5〜6時間だと考えておこう。

高尾山周辺の梅林のよくある質問
Q
高尾山の梅の見頃は?
梅林によって多少前後しますが、例年2月中旬~3月中旬に見頃を迎えています。
Q
高尾山で梅は見られるの?
高尾山では自生の梅はほとんど見られないですが、高尾山麓には「高尾梅郷」と呼ばれる8つの梅林が点在しています。
Q
高尾山周辺の梅林を全て回ると何時間かかる?
歩くスピードや巡り方にもよりますが、2時間~2時間30分ほどかけて巡る人が多いです。
まとめ
主に高尾山麓にある8つの梅林の見どころと魅力を紹介してきた。
高尾梅郷では例年2月中旬~3月中旬にかけて見頃を迎え、およそ1万本の紅白の梅が華麗に咲き誇るので、ぜひ高尾山の登山とともに梅林の散策も楽しんでほしい。
高尾山の8ルートの詳細やお勧めのグルメスポットなど、登山を100%満喫するために知っておきたい情報を網羅的にまとめた、こちらの記事も要チェックだ。