みな与「あわびの煮貝」

1584年創業のみな与。黒あわびを煮た海の珍味、甲州伝統の煮貝はこの店が発祥だ。創業以来一貫して伝来の手造り製法を守り続け、極上の味を提供している。

煮貝に使われるあわびは、すべて日本近海で収穫された天然黒あわびのみ。年々収穫量が減少する天然黒あわびは希少で、なかでも大きく身の締まったものを手に入れるのは困難になってきている。それでも豊潤な肉質や磯の香りが出せるのは天然物に限ると、煮貝づくりに一貫したこだわりをみせる。

煮貝は作り置きしないのが、みな与の流儀。すべて肝つきで調理され、煮貝の一つひとつを秘伝のタレに手作業で浸し、絶妙な味に整える。

一口食せば、磯の香りとほのかな醤油の香りが口に広がるのは明瞭。柔らかい身はもちろん、口に広がる肝独特の舌触りやほろ苦さ、磯の風味は近海物ならではの格別の味だ。昔から大変重宝された珍味で、酒の酌に拍車がかかることは間違いない。

実店舗で購入できるのは、現在みな与本店のみ。甲府に訪れた際は、ぜひ購入したい逸品だ。