福禅寺 対潮楼

平安時代の950年頃、空也上人によって創建された真言宗の寺院・福禅寺。本堂に隣接する客殿で江戸時代の元禄年間に建立され、約330年の歴史を誇る「対潮楼」は国の史跡にも指定されている。

小高い丘の上に建ち、江戸時代には朝鮮通信使の迎賓館として使われていた対潮楼の座敷からは穏やかに広がる瀬戸内海や海に浮かぶ島々など、鞆の浦の絶景を一望できる。朝鮮通信使の一人はこちらからの眺めを「日東第一形勝（日本一の絶景）」と称した。座敷の中央からは仙酔島や弁天島、皇后島といった目の前の島がよく見え、建物の窓枠をフレームに入れて撮影すれば一枚の絵画のような写真になり、非常におすすめ。

坂本龍馬率いる海援隊が運航する蒸気船「いろは丸」と紀州藩所有の「明光丸」が起こした衝突事故「いろは丸沈没事件」の際、海援隊と紀州藩による交渉の場になったことでも有名。現在はいろは丸の外観を模した渡し船「平成いろは丸」が鞆の浦と仙酔島間を運航し、対潮楼からもその姿を見ることができる。